伝統的な発酵食品・調味料のみそが進化している。既存品に対する不満を解消した利便性抜群の商品や、これまでみそが登場しなかったシーンにも自然に溶け込む、新しい発酵フードが誕生している。進化したみそ商品による新たなユーザーの獲得が期待される。
富士甚醤油は既存品に対して消費者が感じているメリットとデメリットを調査し、使いやすさを追求した商品を開発した。「ガゼットは保管がしづらい」「カップは場所をとり、蓋も外れやすい」という不満を解消するため、新商品「ジップみそ やさしさ仕立て」はアルミ製のジップ付き袋を採用。ジッパーの密封性とアルミの遮光性でみその鮮度を保ち、開け閉めも簡単。場所もとらない。
ペースト状の生みそとは異なる形状で、簡便性を高めたみそが注目されている。マルコメはフリーズドライ顆粒みその育成に力を入れている。賦形剤を使用せず、加工時間を短くしたことで、みそ本来の味を実現。溶けやすく、好みの量に調整することができる。賞味期間が長いので備蓄にも最適だ。
同社は09年に「液みそ」を発売し、液状みその市場拡大を牽引。今ではすっかり売場が確立された。FD顆粒みそは「液みそ」が持つ利便性を強化した商品で、「液みそ」に次ぐサブカテゴリー化を図る。
これまでみそが登場しなかったシーンにも溶け込む、新しい発酵フードを提案するメーカーもある。ひかり味噌は昨秋、新たな発酵の魅力を伝えるブランド「buquérico(ブケリコ)」の展開を公式オンラインストアで開始した。
「ビーン トゥ ミソ」は彩り豊かな豆をみそのように発酵。「ディップ アンド スプレッド」の「豚リエット」「牛コンビーフ」には調味にみそを使用。自宅でのティータイムや酒を楽しむ夜の時間にもぴったりだ。
みそはコメ離れや食の多様化により需要減退が続いている。メーンユーザーは60代以上と言われ、将来的に市場が大幅に縮小する恐れもある。新たなユーザーの獲得が急務であり、メーカーは今日的ニーズに対応した商品開発と新たな切り口による提案を積極的に進めている。