10.2 C
Tokyo
8.9 C
Osaka
2025 / 11 / 18 火曜日
English
農水畜産業ナッツ・ドライフルーツカリフォルニア・アーモンド 水問題、当面の懸念去る 日本市場 いまだ可能性大 協会のウェイコットCEOが会見
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

カリフォルニア・アーモンド 水問題、当面の懸念去る 日本市場 いまだ可能性大 協会のウェイコットCEOが会見

年内での退任を予定している米カリフォルニア・アーモンド協会のリチャード・ウェイコットCEOが来日し、3月22日に都内で会見。産地の近況や市場の動向について説明した。

それによれば、カリフォルニア産アーモンドは20年に約140万tと過去最高の収穫量を記録。その後は2年連続で減産となったものの、昨年も過去3番目の収穫量となった見込みだという。

現地調査会社の調べでは、アーモンドの農地面積が昨年は25年ぶりに減少した。ここ数年、新規の作付が減っていることが要因。インフレによる生産コスト上昇に加え、水問題に備えた当局による地下水の利用規制も、作付継続への不安材料となっている模様だ。

ウェイコット氏は「さまざまな要素に左右される収穫面積は年による変動が大きいが、成長は鈍化している。しばらくは大きく増えないか横ばいだろう」との見通しを示した。

過去たびたび問題となってきた干ばつに関しては「この冬は雨が非常に多く降り、山地の積雪量も例年より多い。干ばつの状況はこの1年で大きく改善している」として、当面の懸念は遠のいたことを報告した。

ただ協会の理事会会長を務めるアレクシ・ロドリゲス氏によれば、地下水利用に関して導入された新たな規制のほか、貯水施設のキャパシティなどインフラ面での課題もあり、長期的な問題は依然として残されているという。

対日輸出量は過去25年で倍以上に拡大。コロナ禍以降も、原料相場の低位安定や物流コスト改善などから続伸している。

協会で日本・韓国市場開発コンサルタントを務めるミュリエル・キム氏は「過去5年の対日輸出量は平均5%ずつ伸びているが、日本市場にはまだまだ可能性がある。協会の調査では、日本の消費者のアーモンドへの認知や使用頻度は急速に高まる一方、出荷も同様に伸びているかといえば、そうではないからだ」と話す。

これまで美容意識の高い20~40代の女性に設定してきたターゲット層も、調査結果に基づき50代以上男女へとシフト。健康的な食生活「ヘルシーイーティング」を軸としたマーケティングプログラムを開発中だという。

約20年にわたり、協会のトップとして業界発展に貢献してきたウェイコット氏。残された任期を前に「長きにわたる関係を築いてきた日本は、世界でもクオリティを最も要求される市場。新たな商品開発の拠点としても重要で、アジア市場に大きな影響力を持つ長期的パートナーだ」と強調。

日本の消費者に向けては「『ヘルシーイーティング』の実践で、生活を大きく変えることができる。良く食べることは良く生きること。今後ともぜひアーモンドを召し上がっていただきたい」とメッセージを贈った。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点