年内での退任を予定している米カリフォルニア・アーモンド協会のリチャード・ウェイコットCEOが来日し、3月22日に都内で会見。産地の近況や市場の動向について説明した。
それによれば、カリフォルニア産アーモンドは20年に約140万tと過去最高の収穫量を記録。その後は2年連続で減産となったものの、昨年も過去3番目の収穫量となった見込みだという。
現地調査会社の調べでは、アーモンドの農地面積が昨年は25年ぶりに減少した。ここ数年、新規の作付が減っていることが要因。インフレによる生産コスト上昇に加え、水問題に備えた当局による地下水の利用規制も、作付継続への不安材料となっている模様だ。
ウェイコット氏は「さまざまな要素に左右される収穫面積は年による変動が大きいが、成長は鈍化している。しばらくは大きく増えないか横ばいだろう」との見通しを示した。
過去たびたび問題となってきた干ばつに関しては「この冬は雨が非常に多く降り、山地の積雪量も例年より多い。干ばつの状況はこの1年で大きく改善している」として、当面の懸念は遠のいたことを報告した。
ただ協会の理事会会長を務めるアレクシ・ロドリゲス氏によれば、地下水利用に関して導入された新たな規制のほか、貯水施設のキャパシティなどインフラ面での課題もあり、長期的な問題は依然として残されているという。
対日輸出量は過去25年で倍以上に拡大。コロナ禍以降も、原料相場の低位安定や物流コスト改善などから続伸している。
協会で日本・韓国市場開発コンサルタントを務めるミュリエル・キム氏は「過去5年の対日輸出量は平均5%ずつ伸びているが、日本市場にはまだまだ可能性がある。協会の調査では、日本の消費者のアーモンドへの認知や使用頻度は急速に高まる一方、出荷も同様に伸びているかといえば、そうではないからだ」と話す。
これまで美容意識の高い20~40代の女性に設定してきたターゲット層も、調査結果に基づき50代以上男女へとシフト。健康的な食生活「ヘルシーイーティング」を軸としたマーケティングプログラムを開発中だという。
約20年にわたり、協会のトップとして業界発展に貢献してきたウェイコット氏。残された任期を前に「長きにわたる関係を築いてきた日本は、世界でもクオリティを最も要求される市場。新たな商品開発の拠点としても重要で、アジア市場に大きな影響力を持つ長期的パートナーだ」と強調。
日本の消費者に向けては「『ヘルシーイーティング』の実践で、生活を大きく変えることができる。良く食べることは良く生きること。今後ともぜひアーモンドを召し上がっていただきたい」とメッセージを贈った。