健康経営を実践する企業とソリューションを提供する企業が業界の垣根を越えて集結し、6月に「健康経営アライアンス」を設立する。ヘルスケアなどを展開するオムロンの呼びかけにより、まずは健康経営を実践する8社(代表幹事会社=味の素、SCSK、オムロン、キリンホールディングス、島津製作所、JMDC、日本生命保険相互会社、三井住友銀行)が参画し、健康経営の型づくりと成果創出のためのソリューションの共創を目指す。
ヘルスケアデータを活用した重症化予測や、各社の健康経営に関する製品・サービスをアライアンス内に導入し、新たな開発につなげ、成功事例をアライアンス外でも展開しアカデミアや省庁とも連携しながら海外展開も目指す。
設立説明会の中で発起人のオムロンの山田義仁社長は、「社員が元気にイキイキと能力を発揮する環境を提供することが企業の喫緊の課題」と前置きし、解決策は生活習慣病由来の重症疾患を高い精度で予測するデータ活用と、企業と健康保険組合が連携し、ノウハウを集約することで健康経営実践の型を作ることとしている。
ヘルスケアデータ活用により健康を支援しているJMDCの松島陽介社長は、「今では疾病リスク者は早い段階で抽出できる。健康経営は事業としても重要」と指摘。食品系企業として参画したキリンHDの坪井純子常務執行役員は、「キリングループはヘルスサイエンスとして免疫事業に力を入れ、プラズマ乳酸菌を中心に据えている。データ収集や分析、それに対するソリューション提供などのプラットフォームが将来的に社会基盤になるとみられ、その一端を担いたい」と語った。
また、ビデオメッセージで参加した味の素の藤江太郎社長は、「当社は減塩、減糖、減脂の技術や、『勝ち飯』『ラブベジ』などを通じて参加企業へのソリューション提供やヘルスケア分野において貢献できる。アライアンス企業が集結すれば、1社ではできないことも成し遂げられる」と語った。
すでに20社を超す企業がアライアンスへの参加意向を示しており、2023年度代に300社の参画を目指している。企画責任者のオムロンの石原英貴執行役員は、「今後は着実な成果創出につなげ、健康増進や重症化予防の市場を創造したい」などと語った。