「若者」「食中」に照準、サントリーのRTD 三位一体マーケ推進 食事に合う「タコハイ」も

「ものづくり」をベースに、新たな価値創造を図るサントリーのリキュールスピリッツ事業。缶・瓶・業務用の三位一体マーケティングで、今年も市場を牽引する構えだ。

昨年度の同社スピリッツ事業(ウイスキー、RTD、ジンなど)売上高は前年比108%。業務用の回復や消費変化への対応が奏功した。

「RTDは顧客規模や市場の変化が大きい。多彩な需要創造へ、強いブランドの育成に加えて新たな価値を提案する」。2月28日の戦略説明会で、執行役員RTD・LS事業部長の鈴木あき子氏が説明した。

鈴木氏によれば、現在の20代では半数以上がRTDを入口に酒を飲み始めるといい、今後の酒類市場の成長にとって重要なカテゴリー。ノンアルコールも含めた若年層の飲用増加、生活への定着が大きな課題だ。現在は「ほろよい」「バー・ポームム」の2ブランドを中心に、若者のトライアル拡大を進めている。

さらに食中酒ニーズの獲得にも注力。食事に合う「翠ジンソーダ」について飲食店や体験イベントでの顧客接点拡大を図るとともに、缶チューハイ「こだわり酒場のタコハイ」が3月7日から登場した。

レモンサワー以外の食事に合うRTDが求められるなか、酒場で親しまれるプレーンサワーのタコハイに着目。ほのかな柑橘の口当たりとともに、専用に開発した焙煎麦焼酎の香ばしい風味で食事を引き立てる。

RTD(350㎖/500㎖缶)のほか、炭酸で割って飲む「こだわり酒場のタコハイの素」(500㎖瓶)も発売。同社では80~90年代にも「タコハイ」を冠する缶商品を展開していたが、今回は全く新しい位置付けの商品としての投入だ。

またグローバル展開する「-196℃」ブランドからも、新たな食中酒を提案する新商品「瞬間凍結」として〈無糖レモン〉〈ウメ〉の2品を発売する。

従来よりも度数をやや落としたウオッカに、凍結・粉砕した果実を浸漬させる新製法を採用。素材本来の旨味や複雑味を引き出すことで、甘くない、これまでにない果実感のチューハイが生まれた。

今年の同社RTD国内販売数量は、前年比103%(1億1千683万ケース)を計画。ノンアルRTDは117%(516万ケース)を目指す。