日本酒の輸出拡大が続いている。財務省貿易統計によると、2022年1~12月の実績は474億9千219万円(前年比18.2%増)に達し、13年連続となる過去最高を更新した。その間の成長は目覚ましく、特に直近2年で輸出額は約2倍に伸長した(20年241億円)。日本酒造組合中央会はこのほど記者会見を開き、宇都宮仁理事は「近年は金額の伸び率が数量(22年12.0%増)を大きく上回っており、各国で高品質なプレミアム酒の人気が高まっている」などと語った。
輸出概況について、宇都宮理事は「日本食レストランの拡大(13年約5.5万店→19年約15.6万店)を背景に、冷蔵輸送や冷蔵管理による品質の安定化も図られ、メーカー・流通ともプレイヤーが増えている。近年は中国、シンガポールなどを中心に単価アップが顕著だ。円安の効果もあると思うが、富裕層を中心に高級酒が楽しまれるようになっている」とし、「国内の日本酒市場は約4千億円とみられ、輸出比率はすでに1割を超えた。今後は各蔵がますます輸出に注力することが見込まれる。政府が掲げる25年目標の600億円が視野に入ってきた」などと述べた。
国・地域別の輸出額をみると、1位は中国141億円(前年比37.8%増)、2位アメリカ109億円(同14.0%増)、3位香港71億円(同23.6%減)、4位韓国25億円(同67.9%増)、5位シンガポール23億円(同29.1%増)。
1ℓ当たりの輸出価格は香港2千619円(上昇率▲8.8%)、シンガポール2千535円(同29.3%)、中国1千917円(同35.6%)などが上位。
日本酒造組合中央会は、22年12月5日に日本酒および本格焼酎・泡盛の認定農林水産物・食品輸出促進団体となった。今年度はフランスやドイツで開催される酒類の世界的な展示会(2~3月)に参加するほか、国際ソムリエ協会と連携した海外での啓もう活動、インフルエンサーを日本に招聘する酒蔵ツアーなどを実施、輸出拡大をバックアップしている。