ポッカサッポロフード&ビバレッジは2022年12月18日、瀬戸内海に浮かぶ広島県のレモンの島・大崎上島(大崎上島町)で広島東洋カープの遠藤淳志選手を招いてレモンの収穫体験イベントを初開催した。
商品・サービス・事業活動全体を通して“レモンまるごとの価値”を生活者に届ける活動の一環。
商品や広告では伝えきれない健康情報や調理方法などのお役立ち情報をPR啓発していく考えで、食育活動の充実によるレモンのファン化とエリア啓発推進の徹底による強い絆づくりを柱としている。
この活動を象徴する拠点が大崎上島で、ポッカサッポロは13年に国内最大のレモン産地である広島県と連携してパートナーシップ協定を締結。16年にはJA広島ゆたかとの業務提携および大崎上島との包括協定、17年には呉市との連携協定を結び、関係性を強めてきた。
このうち大崎上島との取り組みでは、19年4月に同島に自社農園を設けでレモン栽培を開始し、19年10月にサテライトオフィスを開設。地域共創の考えから地域農家とのレモン生産振興と、地域とのレモン機能性研究およびレモン食文化発信を行っている。
21年に自社農園で初収穫を行い、今回、親子の一般参加を募りレモンセミナー(レモン教室)をセットにした自社農園での収穫体験イベントとなった。
遠藤選手や親子とともに収穫体験した征矢真一前社長は、自社農園の意義について「我々で栽培してみないと農家の方々のご苦労や環境は知りえない。我々はメーカーなので、生産者が末永くやって下さることが一番であり、そこに1つでも貢献することが我々の使命」と語る。
大崎上島の特産品にはブルーベリー、みかん(柑橘類)、トマト、しいたけが挙げられ、その中でレモンの収穫量は年々増加している。
大崎上島の高田幸典町長は「レモンの可能性を感じている。レモンは生産者の立場からしても価格が安定している。収量はだんだん上がり、地域としての知名度も上がり町にとっては有難い」と述べる。
JA広島ゆたかの金子仁(ひとし)代表理事組合長も「町やポッカサッポロ様と一緒にレモンの振興に取り組んでいきたい。今回のイベントなどを通じて消費者のレモンへの理解が深まれば、より安定して消費していただける」と期待を寄せる。
高田町長は「高齢者にとって減塩は大きな課題」としレモンの健康価値にも期待する。
レモンには、ビタミンC・クエン酸・ポリフェノール・リモネンなどの成分が含まれ、中でもクエン酸の含有量は果物の中でもトップクラス。クエン酸は疲労回復・カルシウム吸収促進・減塩といった主に3つの健康価値を兼ね備えている。
大崎上島では、18年から23年までの5年間、町民約500人が参加して日常的にレモンを摂取し健康状態への効果を確認する産官学連携の「レモン長期観察介入研究」に取り組んでいる。
これにより「私もそうだが、刺身には醤油を使うが、天ぷらなどには醤油の代わりにレモンを使うといった具合に、減塩による健康づくりにも貢献していただいている」(高田町長)という。
さらなる発展に向けて、ポッカサッポロ営業本部西日本営業本部中四国支社の大矢修司支社長は流通への参画の呼びかけに意欲をのぞかせる。
「レモンの栽培やセミナーは、特に広島の小売業の経営者に共感していただける。このような企業さまとタイアップし、もっとお客様に地元の特産品のことを知っていただくのも1つの手法」との見方を示す。
大崎上島でのレモンセミナーと収穫イベントに先立ち、前日の12月17日には、元北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士さんを招き、東京本社で親子の一般参加を募ったレモンセミナーと本社前にある恵比寿ガーデンプレイス内の「サッポロ広場」でレモン収穫体験イベントが開催された。
17日と18日の連日、レモンセミナーの講師役を務めたのはオールレモン事業部の髙橋佳那氏。レモンの歴史と生育・世界のレモン食文化・健康を助けるレモン・調理を助けるレモンの4つをテーマにクイズと実験を挟みながら行った。
実験は、カルシウムなどミネラルの吸収を促進するキレート効果を知らしめるもので、参加の親子がカルシウム入りの液体とカルシウムとクエン酸を混ぜた液体をつくり液色の違いを確認した。
骨が育つのは20歳頃までであることや、牛乳の体内へのカルシウム吸収率が約40%であることにも触れた。
今年は「ポッカレモン」が名古屋工場で製造開始されて60年の節目を迎えることから、レモンセミナーなどのPR啓発は一層の強化が予想される。
【写真】カープ遠藤淳志選手と元北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士さんが参加した収穫体験の様子やポッカサッポロの自社農園など