アイリスオーヤマ飲料水事業を拡大 国内2拠点目・富士裾野工場を新設して供給能力2.5倍 天然水・炭酸水に加えてお茶も予定

 アイリスオーヤマは、天然水・炭酸水を軸足に新たにお茶カテゴリーの製造も視野に入れて飲料水事業を拡大していく。

 このほど新富士裾野工業団地内(静岡県裾野市)にあるトヨタ紡織の土地と建物を取得し、飲料水の生産・物流拠点となる富士裾野工場を新設することを決定した。
 1月30日に静岡県裾野市と立地協定及び防災協定を締結し6月をめどに同工場が稼働する。

 同工場は、2021年に新設した富士小山工場(静岡県駿東郡小山町)に次ぐ国内2拠点目となる飲料水の製造拠点。

 2拠点目の稼働で両工場トータルの今年の供給能力は、前年比2.5倍の5億本を見込む。

 富士小山工場の22年供給能力は2億本。これを3億本に引き上げ、富士裾野工場では初年度2億本の供給を計画する。

 富士小山工場で製造している「富士山の天然水」と「富士山の強炭酸水」は21年の発売以来、供給不足が続いているという。

 当初はこれに対応するため、鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)に飲料水の製造ラインを新設する予定だったが、トヨタ紡織の土地と建物を取得したことで急遽予定を変更した。

 供給がタイトな中、変更にはスピードが決め手となった。

1月30日に静岡県裾野市との立地協定と防災協定を締結したアイリスオーヤマの大山健太郎会長と静岡県裾野市の村田悠市長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
1月30日に静岡県裾野市との立地協定と防災協定を締結したアイリスオーヤマの大山健太郎会長と静岡県裾野市の村田悠市長

 1月30日会見したアイリスオーヤマの大山健太郎会長は「本来、新工場を建てて新ラインを入れるにはだいたい2年かかるが、今回は、トヨタ紡織さまの工場が当社のラインに合うサイズであり、裾野市からもバックアップいただいたことから6月から稼働・出荷可能となった」と語る。

 富士裾野工場には「富士山の天然水」と「富士山の強炭酸水」の計2ラインを導入し「来年にはお茶のラインを入れて、最終的には6ライン入れていく」考えで、製造能力増強計画に伴い、同工場横の敷地に延床面積約5万㎡の倉庫を建設する。工場・倉庫の総投資金額は約300億円を計画している。

 今後の増強にあたり当面の問題としては、電力の供給制限を挙げる。「来年末に新しく電力を増設いただける。電力を供給いただければ一気に2期の増設をしたい」と述べる。

 鳥栖工場の飲料水の製造ラインは時期を延期して新設予定。
 「水の一番高いコストは運賃。そういう点では西日本向けに数年後に予定している計画は進める予定」と説明する。

 現在、富士小山工場では「富士山の天然水」と「富士山の強炭酸水」の数量を2対1の比率で製造し、ともに供給が綱渡りの状況となっている。
 中間流通を通さない直送で物流コストを削減することで値頃感を打ち出していることが販売好調の一因とみられる。

【写真】アイリスオーヤマが取得したトヨタ紡織の建物外観と内観、物流倉庫建設予定場所

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