日東ベスト 上期は増収減益 品質向上・原価低減に注力

業務用冷凍食品が主力の日東ベストは、上半期(4~9月)は外食の復調や価格改定が増収要因となったものの、原材料価格やエネルギー費などの上昇を吸収しきれず、減益となった。現在は来年4月1日の実施に向け価格改定の商談に入っている。19日に開いた記者会見の席上、塚田莊一郎社長は「コスト環境は非常に厳しいが、価格改定に頼るだけではなく、さらなる品質向上や各工場を中心に原価低減も図っていく」との考えを示した。

上半期の連結業績は売上高249億4千100万円(前年同期比3.0%増)、営業損失3億400万円(前年同期2億6千700万円)、経常損失2億8千700万円(同2億9千200万円)、純利益2億3千900万円(同1億8千700万円)と増収減益となった。

売上を部門別に見ると、ウエートの大きい冷凍食品は197億8千800万円、3.0%増だった。分野別で給食は病院・施設向けが引き続き伸びたほか、学校・企業向けも堅調に推移。外食は、行動制限の解除で反動増があったものの、コロナ禍以前の水準には戻っていない。総菜は、スーパーの内製化や価格改定に伴う販売数量の減少がマイナス要因となった。商品別の動向は、秋に投入したとんかつとすき焼きのブラッシュアップ品が順調な出足を見せ、やわらか食が病院向けのニーズを捉えて好調な動きとなっている。

一方、他カテゴリーは日配食品が37億4千300万円、0.6%増と前年クリア、缶詰部門等は14億800万円、8.6%増と伸長。

23年3月通期の業績は、売上高530億円(6.5%増)、営業利益1億円(88.1%減)、経常利益1億円(89.0%減)、純利益5千万円(91.8%減)を見込む。

大幅な減益を想定するが、背景には急激なコスト高の進行がある(4~11月前年同期比=材料費108%、光熱費135%、物流費101%、人件費103%)。過去2年で複数回にわたり価格改定を実施したが、来年4月にも全品を対象にした再値上げを計画。併せて品質向上や原価低減を図り、来期には減益要因を吸収していきたい方針だ。

一方、大沼一彦会長が業界を取り巻く環境についてコメント。「コロナ禍に原材料高や円安の影響も重なり、当社も大きなあおりを受けている。この間、日本の状況を見ると食料自給率の低さや資源を輸入に頼っていることなどの問題が改めて浮き彫りになった。とはいえ一企業では解決しようがない。行政は将来を見据え、国全体の在り方がこれで良いのか再考し、対策をしっかり打ってほしい」などと話した。

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