ローソン大変革に手応え 店舗理想形改装と「ハピろー!」施策で上期計画を達成

 ローソンは上期(2月期)、2020年10月に立ち上げた「ローソングループ大変革実行委員会」の取り組みと今年6月に始動した「ハピろー!(ハッピー・ローソン・プロジェクト!)」施策が奏功して既存店日販は上期計画(102%)を達成し前年同期比2.4%増となった。

 上期客数は100.1%、上期客単価は102.3%を記録した。

 10月6日、決算発表に臨んだ竹増貞信社長は「大変革実行委員会を立ち上げて1年半経った6月から『ハピろー!』と大キャンペーンを展開した。短期的に進めてきた施策に対して結果を出すため、変わったローソンを見ていただこうとTVやWEBなどあらゆるメディアでキャンペーンを打ち出した効果もあってお客様の数はググっと8月に伸び増えてきている」と振り返る。

 大変革実行委員会の短期・中長期のプロジェクトの中で、昨秋から「店舗理想形追求プロジェクト」「厨房プロジェクト」「商品刷新プロジェクト」「無印良品導入プロジェクト」の4つを推進し上期に日販を改善。

FF(フライドフーズ)セルフ什器 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
FF(フライドフーズ)セルフ什器

 店舗理想形追求プロジェクトは「地域密着×個客・個店主義」のキーコンセプトのもと冷凍食品の売場拡充や店内厨房を導入するなどして店舗を改装するもので、上期に1240店舗を改装。これにより累計改装店舗数は5545店舗に上る。

 下期も改装店舗を増やしていく方針だが「決まりきったことをやる改装ではなく、店内厨房だけで済む店やFF(フライドフーズ)セルフ什器は不要な店など、未実施の店舗事情に寄り添った改装を行っていく」。

 厨房プロジェクトで導入推進している店内厨房の導入店舗数は上期約130%の8853店舗に達した。

 下期は「コロナ禍で外食・コンビニ・スーパーとあらゆる垣根が取り払われ、外食もお弁当を販売する中で、コンビニではローソンだけが外食品質に対抗しうるハードを持ち合わせており、おいしさと利便性をアピールしていく」考えだ。

 立地環境などから厨房の導入が困難な店舗に関しては、厨房を備えた近隣店舗からのサテライト供給(横持ち)で対応していく。

 商品刷新プロジェクトでは冷凍食品と日配食品の品揃え・商品力強化に取り組み、上期は冷凍食品の売上げが110%強伸長した。

 冷凍食品は「現在の冷凍と解凍の技術を使えばさらにおいしいものをご提供できる」との考えで、下期、冷凍デザート・冷凍弁当・冷凍ベーカリーなど新機軸商品の開発・供給拡大に取り組む。

「無印良品」の売場 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「無印良品」の売場

 「無印良品」については5月2日から本格導入を開始。20年6月からの110店舗での実験販売を経て地域社会への貢献という両社の理念が一致したことを確認。関東・甲信越地区で導入拡大して上期の導入店舗数は3780店に上る。

 導入品目数は、生活の基本となる化粧水・文具・靴下・レトルトカレー・菓子など約200品。今期1万店への導入を計画し、導入完了後は「本当にローソンで買いたい日雑品を良品計画さまとつくっていきたい」との考えを明らかにする。

 エリア戦略では今年3月に北海道カンパニーと近畿カンパニーを新設。上期は観光客数宇の回復効果もあり、北海道カンパニーでは日販(103.9%)・客数(101.1%)・客単価(102.7%)で全社平均の伸びを上回り、近畿カンパニーでは日販(103.7%)、客数(101.4%)で全社平均よりも高い伸びをみせた。

 「地域に決定権者がいるということで即断即決・即実行ができ、結果が出ている。来年度以降、今やっていることの課題とメリットをしっかり踏まえながら全国展開していく」と意欲をのぞかせる。

水光熱費が増加する中、エネルギーマネージメントシステム(EMS)を導入して消費電力量の見える化にも取り組む。 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
水光熱費が増加する中、エネルギーマネージメントシステム(EMS)を導入して消費電力量の見える化にも取り組む。

 既存店日販の伸長に伴い上期加盟店利益は前年を超えた。水光熱費が増加する中、FC契約により加盟店が負担する電気代の一部を本部が負担。本部の光熱費等はほぼ計画どおりの20億円の負担増となった。

 「水光熱費が増えている中でも、コロナ禍で筋肉質になり、1年半かけて店舗改装や商品開発を行い、そこに『ハピろー!』という大きな企画を入れて、加盟店さまにも利益が出ている」と語る。

 値上げの影響については「値上げした商品の買え控えなど売上げ影響を及ぼしている数字は今のところ出ていない。これは行動制限がなくなったことに対する消費意欲が値上げによる消費減退を上手く打ち消したためと思われる」との見方を示す。

 ただし下期については、暖房費の高騰などが行楽シーズンの需要に水を差す可能性があるとし消費動向に一層注視の構え。

 商品は、二極化やメリハリニーズに対応。

 値ごろ感は納豆や豆腐、トイレットペーパーなどのローソンのプライベートブランド「L basic(エル ベーシック)」で創出していく。「企業努力によって値上げを最小限、あるいは価格を横ばいに抑えていきたい」考えだ。

 一方、スイーツなどの付加価値商品は「お客様の買い上げの傾向などを踏まえ、お客様とのコミュニケーションをしっかり行った上で価格を決定していきたい」と述べる。