自然への畏れあってこそ

中国は「ゼロコロナ政策」を続けているが、果たしてゼロに抑え込むことなど本当にできるのだろうか。たとえばオミクロン変異ウイルスの特定系統をワクチンでゼロにすることはできるかもしれないが、ウイルスは絶えず変異しているので結局いたちごっこのような感じがする。

▼いたちごっこは害虫と農薬の関係にもあてはまる。ある農園主は「農薬で害虫を駆除しようとすると農薬に対して抵抗力のある害虫が現れて、いたちごっこになる。害虫を駆除するのではなく害虫を管理しようということに気がついたのが大きい」と語り、水圧と風圧でダニなどの害虫を駆除する機械を開発し成果を収めている。

▼このやり方は害虫を完全に敵とみなすのではなく、自然に寄り添った印象を受ける。逆にゼロとか完全制圧みたいな考え方は「人知の及ばない」の発想がなく人間の傲慢さが滲む。

▼「いただきます」は食材として命をくれた動植物への感謝の言葉でもある。自然の恵みで生かされている発想があれば「ゼロにする」とはならないはず。フードロスも然り。これこそ感謝の心を持ってゼロにすべし。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)