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「リサイクルボックスに異物を入れないで」 ペットボトルなど空容器の中間処理施設が訴え AIロボット導入して資源循環を守る彩源

自販機リサイクルボックスに入っている使用済みのペットボトル(PET)や缶などの飲料空容器はメーカーやオペレーターに回収された後、営業所で一時保管され、次に空容器を種類別に選別・加工する中間処理施設に回される。

中間処理施設で選別・加工されてベール状に圧縮されたPET・アルミ・スチール・瓶の各素材が再商品化事業者(リサイクラー)に販売されることで資源循環は成り立っている。

このことから中間処理施設は、リサイクルに欠かせない重要拠点である一方、リサイクルボックスに心なく入れられる異物の被害を一身に引き受けている拠点でもある。

「回収袋には空容器以外に弁当箱やビデオ、財布、はさみなど様々なものが入っていて、それらを1つ1つ分別しないといけない。どうかリサイクルボックスに異物を入れないでほしい」と訴えるのは埼玉県の中間処理企業・彩源(株)の武笠行男社長。

回収袋を選別・加工ラインに投入する様子(彩源)
回収袋を選別・加工ラインに投入する様子(彩源)

異物による被害はどのようなものか。

たとえばカフェやコンビニで売られるアイスコーヒー用のプラスチックカップに飲み残しや氷が入ったままリサイクルボックスに入れられると、中間処理施設に運ばれ保管される際には回収袋の一部が破れそこから液体が漏れ出てしまう。食べ残しの弁当箱の場合は、異臭が放たれる。

彩源では、飲料最盛期の夏場、処理が追い付かず回収袋が数日間置かれたままの状態になり、近隣から異臭へのクレームが寄せられ従業員の労働環境は悪化していた。

これ改善すべく、彩源は“異物NO”を訴えつつも、設備投資を行い選別・加工ラインの1つを全面刷新。4月に稼働開始したところ、各所から持ち込まれる回収袋はその日のうちに処理されるようになった。

彩源の武笠行男社長
彩源の武笠行男社長

これに大きく貢献しているのがAIロボット選別機で、ベルトコンベアーにある空容器の中からAIが判断した容器を1本ずつパッパッとつかみ迅速に選別していく。

これにより省人化も図られ「これまで1ラインに約25人必要としていたのが今では6、7人でできるようになった」という。

武笠智行常務取締役は、来夏をめどに、AIロボット選別機を採用したラインの24時間稼働を目指していく考えを明らかにする。

回収袋におさめられる空容器(彩源)
回収袋におさめられる空容器(彩源)

「産業廃棄物業界でAIを24時間動かしているところはない。人がいるときはAIをメンテナンスし、そうでないときにAIを24時間稼働できれば最終的に選別する人をゼロにし、さらなるコストダウンが図れる」と意欲をのぞかせる。

新型コロナウイルス感染症拡大を受けた動きとしては、オゾン水殺菌システムを導入し空容器や圧縮されたPETや缶などオゾン水をかけている。

オゾン水は次亜塩素酸水と同等の殺菌力がありながら、オゾンが30秒程度で酸素ガスに変わるため安全ですすぎ洗いが不要となる。

武笠智行常務取締役(彩源)
武笠智行常務取締役(彩源)

彩源は、埼玉県深谷市に拠点を構え半径100km前後の埼玉全域・東京・千葉・茨城から空き容器袋を回収。量が多い取引先に向けては、空き容器専用のコンテナを設置しコンテナ交換で回収している。

自然災害などで中間処理施設が機能しなくなると資源循環に支障をきたすことから、彩源と千葉県の中間処理企業・ガラスリソーシングは災害協定を締結。「有事の際は当社から社員を派遣したり代わりに空容器を引き受けたりする。首都圏環境美化センター(東京都・足立区)さまとも良好な関係を築かせていただいている」と述べる。

オゾン水殺菌システムとオゾン水がかけられる缶のベール(右)(彩源)
オゾン水殺菌システムとオゾン水がかけられる缶のベール(右)

循環型社会の実現に向けて先進的に取り組む一方、武笠常務は消費者に改めてリサイクルボックスへの“異物NO”を訴える。

「リサイクルで一番重要なのは意識。捨てようと思えば廃棄物になり、リサイクルの気持ちを持てば再利用される。リサイクルボックスに入れるときに、少しの思いやりがあれば世界は本当に大きく変わる」と呼びかける。

なお彩源は月間2万トン以上の飲料空容器の選別・加工を可能としている。「1日1万5000個の回収袋(1袋3~4kg)を処理している」という。

埼玉県深谷市に拠点を構える彩源
埼玉県深谷市に拠点を構える彩源

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