海苔 大凶作から回復進むも依然足りず 養殖業者廃業相次ぎ生産力低下に拍車も

2020 全国海苔共販 市況

今年度の全国海苔共販が13日の兵庫、宮城で終了した。46年ぶりの大凶作だった昨年度と比較して、枚数で9.5%増(69億8千7万枚)、平均単価は2.7%高(13円40銭)となった。今年度も暖冬という厳しい養殖環境ながら、各産地が奮闘して2年連続の大凶作は免れた。

前半戦で東日本(宮城、千葉、愛知、三重)が不振となり、九州有明海がカバーする構図だったが、最終的には宮城と三重はプラスに回復。ただ、東日本エリア全体では前年比98%に留まった。瀬戸内海エリア(兵庫、岡山、広島、徳島、香川、愛媛)は113%、九州有明海エリア(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島)も109%と全体を牽引した。

全国合計では前年プラスにはなったが、大凶作前の水準(約75億枚)にはまだ及ばず、依然として国内需要分(約80億枚)には全く足りない状況に変わりない。引き続き海外産(韓国、中国)で穴埋めしていくことになる。

単価は各社の在庫不足を反映して終始高値で取引された。平均単価は2.7%高となり、平成以降の最高値をまた更新した。ただ、昨年とそれ以前にも連続的に値上げしてきたこともあり、今年度分に関して今のところ表立った値上げ表明は出ていない。

追い詰められている海苔業界ながら「もう海苔を食べてもらえないかもしれない」と躊躇する声が聞かれる。

また、今年度も前年増の水揚げ量があったが養殖業者の廃業は進むと見られている。その分、基礎生産力は落ちることになり不作レベルも下がる。現状の適正価格も変動する可能性がある。

中国海苔も入札終了 前年減の約39億枚

さて、中国の海苔入札会もコロナ影響で中断しながら4回の入札会(江蘇省海苔協会主催)が終了した。総出品枚数は39億1千100万枚で成約率は68.4%、平均単価は37.99元(1枚5円70銭)となった。コロナ感染の各対策で入札会も延期されるなど影響を大いに受けた。枚数も前年度の約42億枚から減少している。