日本でのFRANKEコーヒーシステムズの販売を請け負っている三井倉庫ロジスティクスは、引き続き生業であるサプライチェーンやロジスティクスを含めたトータルソリューションを強みに深刻な労働不足に直面する外食産業に向けて価値を提案していく。
「店舗で活用する様々な機器の搬入設置やアフターサービスの一元管理に留まらず、消費財の調達から供給までのサプライチェーンのあり方やロジスティクス改善までを提案させていただくことによって店舗運営の効率化を包括的な視点で支援させていただいている」と松川健一執行役員 ビジネスソリューション統括は説明する。
これにより店舗は商品開発などのコア業務に集中できるようになる。昨今では、高まる中食ニーズによってECへの参入を検討する外食店に向けて「オンラインでの受発注の仕組み作りからデリバリーまでを見据えた“ラストマイルソリューション”で支援させていただいている」。
このソリューション提案の要となるのが、都市型倉庫(テクニカルセンター)を拠点としたシティ・ロジスティクスプラットフォームとなる。都市型倉庫と連携することによってエンドユーザーとの接点が多い都市で幅広いサービスをきめ細かく展開している。
直近では新型コロナウイルス感染拡大で外食店が大打撃を受けている最中であることから、外食店のサポートに注力。新型コロナを機に、店内でコーヒーを飲むという業務用コーヒーの概念そのものが変容し、店舗ビジネスを包括的にデザインする能力が問われるようになるとみている。
「カフェ・レストラン・ホテルなどの顧客数は激減し投資計画の見直しなども行われ大変厳しい現状ではある。ただそうした中で、お客様によっては店舗を起点にした中食・デリバリーサービスへのテコ入れやECへの進出など新しい動きも見受けられる。また東京オリンピックが延期されたことで、店舗運営を再度確認する時間も生まれ将来に向けた前向きな話も浮上している」と希望を見出す。
今後は、非接触的な販売方法やセルフ化がさらに進むと予想。「フルオートマチックやペイメントシステム、IoTを用いた遠隔監視、来店客の店舗滞在時間を極力短縮するための事前オーダーシステム、テイクアウトなどの取組みが加速化していくだろう。これにより外食・中食・ECの垣根は低くなり、オーダーを受ける場所や消費者が実際にサービスを受ける場所がよりボーダレスになると想定している」。
今期(3月期)の方針は、高品質なマシンを高品質なサービスとともに提供して新規顧客を獲得していくとともに生業を強みに様々なネットワークを駆使して事業拡大を図っていく。
これに加えて同社では、コーヒーシステムズ事業部を管掌するビジネスソリューション統括として経済発展と社会的課題の解決を両立する 「Society 5.0」 への貢献というミッションを掲げ「コーヒーマシンの提供や、サプライチェーン、ロジスティクスソリューションの提供を通じてより豊かな社会づくりへの貢献を目指していく」。
コーヒーの重点施策としては、引き続きフルオートのFRANKEマシンに注力していく。その付帯サービスではGMOフィナンシャルゲート社と共同開発したクレジット・交通系カードでの決済に対応したペイメントシステムを拡大していく。ペイメントシステムは現在、FRANKEマシンのうち5機種(A400・A600・A800・A1000・S700)に対応している。
その手応えについて「小銭を持たないがためにドリンクの購入を見送っていた消費者行動の例もあり、これをクレジット・交通系カードの利用に切り替えることによって利用杯数が80%増加したケースもある。設置側としても集金や小口入金の手間がなくなり、その結果、より高いクオリティーのコーヒーマシンを導入するケースも増えている」と語る。
今後は、より顧客利便性を高めた仕組みを検討。その一例に、GMOフィナンシャルゲート社のオフィスペイの仕組みをペイメントシステムに搭載することを挙げる。
オフィスペイとは社員証を利用した決済の仕組みのこと。これを利用して社内決済を行うことで、従業員はキャッシュレス・カードレスで社内の会計を済ますことが可能となる。「人事・総務の方のご対応を必要とするが、決済データを給与から引き落とすことや、福利厚生費として所定回数まで会社負担とするなど幅広いシーンでの活用が期待できる」という。
オプションのIoTを使った遠隔操作・メンテナンス・使用状況監視一括管理の提案にも注力する。その魅力について「ドリンクの販売実績を多角的に可視化できる。より売れやすい商品をマシンの前面にレイアウトし、双方向型データ通信による情報の共有化やシーズナルドリンクなど本部一括操作による店舗先のメニュー設定の変更も可能となる」と述べる。
そのメニュー設定の際、味の均一性を強固にする特許技術「iQフロー」のオプションと組み合わせるとさらに効果的だという。
エスプレッソマシンは構造上、抽出口まで均一圧力をかけ切れないが、iQフローを用いることで抽出口にまで圧力を均一にかけられるようになり「エスプレッソは室温や湿度に影響されやすいため、抽出の流量を調整できるという点でクライアントから高評価を得ている」と語る。
IoTは同社従業員の効率化にも寄与。トラブル発生時は、コールセンター機能とリアルタイムのマシンデータが連携することで予め故障個所を特定。これにより手持ちの部品を必要最小限にして修理に出向けるようになっている。
コーヒーシステムズ事業部の前期実績は前年比60%増となった。
「年度末の駆け込み需要やオフィスコーヒーの需要の高まりで売上げを伸ばすことができた。BtoC向けのコーヒーマシンビジネスについては、SCM全般をサポートさせていただく機会にもつながっている。生豆の流通を支える国内シェアトップの物流での経験と合わせてコーヒー分野への知見もより一層深まる結果となった」と振り返る。
好業績に伴いFRANKEマシンの販売台数も順調に拡大。中でも「ミドルレンジモデルのA600の引き合いが強く、前期は大手レストランチェーン様で導入が開始され、コンビニチェーン様でも導入が進んだ」と述べる。
新機種の導入開始は21年夏以降を予定。新機種のスペックは、ツイングラインダーとツインパウダーを搭載し、Aシリーズのデザインを継承した「重厚感がありながらコンパクトなデザインとなる」。
昨年、ネスレ日本が開始したスターバックス店舗外でのスターバックスコーヒー提供事業「We Proudly Serve Starbucks™」では、FRANKEマシンが採用され「導入したクライアント様から、スターバックスのコーヒーコーナーを中心に人が集まりコミュニケーションが円滑になるなどのお喜びの声を頂戴している」という。
本サービス認証機ラインナップに昨年からAシリーズが新たに加わったことで、今年は「より多様なロケーションへの設置が可能になり、オフィスのカフェテリアや休憩スペースだけではなく、ホテル・大学・病院など全国への展開を開始する予定」と意欲をのぞかせる。