さよなら、使い捨てマスクを洗う日々

筆者が子供の頃はまだ、穴のあいた靴下やズボンに継ぎ当てをして着ていた記憶がある。決して器用ではない母が繕った箇所は不格好で、恥ずかしいと訴えても「まだ着られる」「誰も見ていない」と退けられた。「もったいない精神」など高尚なものではなく、それが「生活」だった。ここ最近、使い捨てマスクを洗っていると、そんな昔の日々が思い出される。

▼新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いよいよ東京など7都府県で「緊急事態宣言」が発令された。ただ、法的強制力を持たないだけにその効果は読みにくい。国民生活・経済活動が大きく制限される一方で、経済対策や弱者救済策なども打ち出されているが、どこかずれている印象や不公平感は否めない。

▼まずはこの1か月が勝負。宣言が出された7都府県に限らず、国内すべての人々が「いま何をすべきか」、そして「何をしてはいけないのか」を考え、自身の行動を律しなければいけない。

▼わが家に布マスクが届く頃には日常が戻っている。そんな淡い期待を抱きながら、残り少なくなった使い捨てマスクを数えている。

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