ポッカサッポロ社長が広島県知事訪問 レモン栽培開始を報告

「課題共有し供給拡大」岩田社長

ポッカサッポロフード&ビバレッジの岩田義浩社長は17日、広島県庁に湯崎英彦知事を訪問。4月から大崎上島町で始めたレモン栽培について報告した。

同社は13年に広島県とパートナーシップを締結、その後、県内のJA広島ゆたかや大崎上島町と協定を結び、瀬戸内レモンのブランド振興や食育、研究活動に取り組んできた。

国産レモンは需要の拡大が続く一方、産地では高齢化や後継者不足が進み、供給が追い付かない状況にある。こうした中で同社はレモンの栽培をスタート。岩田社長は「自らが生産にかかわることで地域、JAとともに課題を共有し、その解決に取り組みたい」と説明。VRを用いた収穫体験など生産支援のコンテンツを紹介した。

湯崎知事は「生産と販売が階段状に伸びていくのを思い描いていたが、思った以上に需要が伸び、一方で生産はいろいろと壁が多い。こうした中、安定的な生産のためには、企業的な生産形態が必要。拡大に寄与してもらえると期待している。企業的な農業経営を特に若い人たちに伝授してもらいたい」と応えた。

岩田社長は会見で生産への意気込みなどを次の通り話した。

◇   ◇

――広島県でレモン栽培を始めた理由は。

広島県は国産レモンの約7割の生産量を誇る。瀬戸内ブランドの振興とビジネスの拡大のためにはボリュームが必要。今後の可能性を踏まえ、多くの産地があり拡大が期待できる広島県からスタートしたいと考えた。

――メーカーとして農業に取り組む目的は。

レモンの大きな需要に対し、供給が追い付いていない。もっと多く供給してほしいと企業が言うだけでは収量が増えることはない。継続するには自らが実際に農園を持ち、供給拡大のためにどういう課題があるのかをJAや地元農家、地域の皆さんと共有することが重要だ。地道だが、それがビジネスの拡大と地域の振興につながる。

当社は農業への知見はまだないが、一方で企業としてVRなどを利用し、取り組みの事例を農家と共有することで拡大のスピードを速めることができる。

――大崎上島で生産するレモンをどう活用するのか。

実がなるには植えてから3~5年かかる。まだスタートしたばかりで具体的なものはないが、瀬戸内・広島のブランド発信、ポッカレモンのブランド拡大につながる商品ができればと考えている。

今回植えた180本だけで需要に応えられるかと言えばまだ少ないが、その先の収穫体験、料理メニューの提案などを通して地域の食育活動にも役立てたい。