手で横開封できるピロー袋 ジッパー装着で保存性アップ 富士特殊紙業

富士特殊紙業が開発した横方向開封ピロー「スマートカット」が注目を集めている。これは開封用のノッチから横方向へ手で引き裂くだけでピロー袋の横開封を可能とした同社の独自技術。同技術の確立でピロー袋へのジッパー装着も可能となる。開封のしやすさに加え、保存性も向上するとあって食品包装への採用が増えている。

ピロー包装は多くの食品包装に採用されているが、ハサミを使わず手で開けるには縦方向に引き裂くか、袋の表裏を引っ張って開封するのが一般的。しかし、それによって内容物がこぼれる、食品表示部分が破れて見づらい、保存がしにくいなどの難点もあった。

一般的なピロー袋が横方向に開封できないのは構造上の問題。フィルムを筒状にして両端を溶着する合掌貼り方式のため、袋を横方向から引き裂いて開封しようとすると合掌貼りの部分で止まり、それ以上引き裂くことができない。

ピロー袋 スマートカット 富士特殊紙業 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

これに対し、同社の「スマートカット」は開封ライン上の背貼り部分に切り込みを入れ、切り込みの上下を圧着することでスムーズな横開封を可能にした。細長い乾麺やパスタ、こぼれやすいキャンディーやナッツ類はもちろん、トレー入り商品、中身が崩れやすい商品などの包装にも最適だ。

さらに、「スマートカット」にジッパーを装着すれば大容量の食品が袋のまま保存でき、商品の付加価値を高めることができる。また、既存商品でも包装の形状を変えることなく、「スマートカット」やジッパー装着仕様に変更が可能だ。

ジッパーには直進カット性に優れたオリジナルの専用ジッパー「TZ-SC」を採用。同じ袋幅の三方袋、ガゼットジッパー袋より開封口が大きくなり、内容物が取り出しやすくなるのも利点の一つだ。

一方、ピロー袋の多くは自動包装化が進んでいる。その対応のため「スマートカット」、およびジッパー装着機能を搭載した横型ピロー包装機、縦型ピロー包装機(ともにフジキカイ製)を用意。同包装機を導入できない場合は、同社が製造したスマートカット袋、スマートカットジッパー袋の製袋品を納品することもできる。

なお、同包装機は新連携計画として中部経済産業局の認定を受け、11年5月にフジキカイと共同開発した。同包装と包装機は同年11月に「ジャパンパックアワード会長賞」を受賞している。