日本通信販売協会(JADMA)は4月23日、都内で「機能性表示食品4周年祝賀会」を開催し、関係者約200人が出席した。
祝賀会は、2015年にアベノミクスの成長戦略の1つとして誕生した機能性表示食品制度を行政、業界、消費者の立場から振り返ることを目的に講演会形式で開催。制度のあり方や取り組むべき課題について意見が述べられた。
冒頭、一億総活躍担当大臣として制度立ち上げにかかわった自民党総務会長の加藤勝信氏が登壇。加藤氏は「新しい仕組みをいかに広げていくかが当面の課題。わが国は健康寿命の延伸を目指しており、この制度は目標を達成するための大きなツールとなる。訪日外国人も増えており、機能性表示食品を外国人観光客にも理解してもらう必要性も生じてくる」と制度の存在意義について述べた。
その一方で「生鮮食品も徐々に増えており、農業の振興とともに地域おこしとしても利用していただきたい。制度の今後については法律における課題をどのようにクリアするか、業界団体と事業者がいかにして連携するか、さらには消費者に分かりやすい情報を提供することで正しい商品選択がなされることが重要」と要望した。
第1部の講演では消費者庁食品表示企画課課長の赤﨑暢彦氏が制度の成り立ちから現状までを説明。規制改革実施計画の直近分に当たる軽症者データの取り扱い範囲の拡大や食薬区分の運用改善といった項目も対応状況を報告した。消費者庁が8千500万円の予算をかけ特定保健用食品(トクホ)制度の運用拡大を検討している点にも言及。現在、カルシウムと葉酸のみ該当する疾病リスク低減型トクホのテコ入れを図る方針を明示した。
具体的には海外の類似制度の状況を把握し、今後の制度設計や新たに加える関与成分の候補に関する基礎的な調査を実施する。疾病リスク低減表示は米国ではビタミンDなどが、欧州では植物ステロールなどが認められている。赤﨑氏は「トクホの運用を拡大は機能性表示食品とのすみ分けを明確にするという目的もある」など意図にも触れた。
第2部は行政、学識者、事業者、消費者の視点からパネルディスカッション形式で運用面のあり方や、現状の問題点などを討論。
大阪大学教授の森下竜一氏は「各制度の違いが分かりにくくなってきている。制度外のいわゆる健康食品はエビデンスを蓄積することが必要」と私見を述べた。国民生活センター理事の宗林さおり氏は「生活実態で機能性表示食品やトクホを利用して何が変わったかという疫学調査などを実施してほしい」と要望。赤﨑氏は「コンセプトと商品の良さをいかに消費者に伝え、健康リテラシーをもたせるかが浸透のカギになる」と展望した。