カゴメは3月27日、名古屋市内で「第75回定時株主総会」を開催した。所要時間は88分、出席者数2千424人、質問者数11人、質問数18問。「開かれた企業」「個人株主(ファン株主)の拡大」を標榜する同社らしさを如何なく発揮した内容で、質疑応答では株主からの質問・意見に丁寧に対応。和やかなムードの中で閉会となった。
総会では、寺田直行社長が18年業績と第一次中期経営計画の振り返り、および19年を初年度とする第二次中期経営計画の骨子を説明。
18年は、営業利益と当期純利益が過去最高を記録。これを受け、株主配当も記念配当を5円から10円に増配し、普通配当と合わせ40円とした。
国内加工食品事業は、飲料の「野菜生活100スムージー」や機能性表示食品、食品・業務用の「基本のトマトソース」などが好調に推移。国内農事業は、リコピンやベータカロテンなど高付加価値トマトの販売に注力。これにより生鮮トマトの販売数量は増加したが、台風被害の影響など市場価格が前年以上に下落したことで、2年連続の営業損失となった。一方で国際事業は減益となったものの、一昨年の米国子会社売却の影響値を除くと35億円の増収とした。
第一次中期経営計画の振り返りでは、営業利益率の改善や働き方改革の推進など、手応えと今後の課題について語った。
さらに19-21年度の第二次中期経営改革概要を説明。基本戦略に掲げる「収益力強化の継続」と「新事業・新領域への挑戦による成長」の実践・実現に向けた取り組みの要点を語った。
国内農事業は、市場価格の変動に左右されない収益構造の構築を目指し、菜園経営の効率化やコストダウンの推進に注力。国際事業では、海外各子会社の経営基盤の強化を図るとともに、アジアでの事業拡大をにらむ。国内加工食品事業においては、飲料で機能性表示、植物性領域、ターゲット別商品群の3本柱を強化していく。
一方、新領域への挑戦として、SMやCVSの中食や外食に向けて「野菜をおかずで摂る」提案を強化。新事業は、カゴメが120年培ってきたブランド、野菜の研究成果などを最大限に活用したコトビジネスを新たな柱へと成長させていく考え。企業、自治体に向けたセミナーなどの健康事業の展開を拡大する。
この4月26日には、体験型野菜テーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム富士見」が開業する。総会後の会見でも寺田社長が「大切な株主さまやお客さまにカゴメの事業活動をご理解いただく重要な場所と考えており、野菜の会社であるカゴメの象徴の地としていきたい」と同施設への期待を述べている。
働き方改革では、副業の制度化、フレックスタイム制の試験導入に着手。残業時間の削減や女性の採用・活躍の場の拡大も継続して力を注ぐ。子育て支援の一環として、4月1日に「野菜を好きになる保育園」がコンセプトの「ベジ・キッズ」を東京本社近隣に開設した。
質疑では、ゲノム編集食品や遺伝子組み換え食品に対するカゴメのスタンス、プラスチック海洋ごみや食品ロス問題についての対応、女性の採用・登用に関する現状と今後の目標などについて、株主の質問に答えた。