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紅生姜味ブームの火付け役・アイデアパッケージ西尾優志社長に聞く② 「また紅生姜か」が市場の寿命を縮める ー ブームで終わらせない商品づくり

前編では、「大阪紅ショウガ天 柿ノ種揚」が誕生し、紅生姜味という市場を切り開くまでの歩みを紹介した。では、西尾社長はなぜ紅生姜という素材にそこまでの可能性を見いだしたのか。後編では、「紅生姜と言えば赤である」という独自の視点から、紅生姜が持つ魅力や市場の現在地、そしてブームで終わらせないための考え方について聞いた。

西尾社長:私は今でも、菓子のフレーバーとして考えた時、紅生姜ほど多くの特徴を持った素材は珍しいと思っている。まず、「紅生姜」という言葉そのものに人を引き付ける力がある。鮮やかな赤色があり、味にも強いパンチがある。そして何より、大阪という食文化を象徴する存在でもある。

紅生姜は本来、牛丼や焼きそば、冷やし中華、寿司などに添えられる脇役の食材である。しかし、その脇役をあえて菓子のフレーバーにするところに企画としての面白さがあった。「紅生姜味」と書いてあるだけで、「どんな味だろう」と興味を持ってもらえる。そして実際に食べると、「意外とおいしい」と感じてもらえる。その意外性こそが、紅生姜味がここまで広がった理由の一つだと思っている。

発売から十年以上がたち、紅生姜味は以前ほど特別な存在ではなくなった。かつては「変わった味」と受け止められていたが、今では一つのフレーバーとして認識され始めている。

ただ、私はまだ紅生姜味が完全に定着したとは思っていない。「紅ショウガ天 柿ノ種揚」が、「マツコの知らない世界」で紹介されてから、まだ十年もたっていない。ようやく市民権を得た段階であり、本当にこれからが市場を育てる時期だと考えている。

だからこそ、一番避けたいのは、市場が早い段階で飽きられてしまうことである。今は紅生姜パウダーを使えば比較的簡単に紅生姜味の商品を作ることができる。しかし、売れているからといって似たような商品ばかりが並べば、「また紅生姜か」「どうせ全部同じ味だろう」と思われ、市場そのものの寿命を縮めてしまう。

紅生姜は何にでも合う素材ではない。商品の特性や素材との組み合わせを考え、それぞれのメーカーが「次はどんな紅生姜味なのか」「この会社はどう仕上げてきたのか」と期待してもらえるような新しい価値を提案し続けなければ、市場は成熟しないと思っている。

実際、市場が広がるにつれ、商品表現にも一定の傾向が見え始めた。菓子だけでなく、調味料などを含めた紅生姜商品全体を見ると、昭和の屋台や駄菓子を思わせるレトロで親しみやすい世界観を打ち出したタイプと、牛丼店で紅生姜を山盛りにして楽しむような文化を思わせる、刺激やインパクトを前面に打ち出したタイプの二方向に分かれつつあるように感じている。どちらも、紅生姜という素材の個性を素直に表現した結果なのだろう。

9月発売の「ナイス!クラッカー 紅しょうがサワークリーム味」
9月発売の「ナイス!クラッカー 紅しょうがサワークリーム味」

そうした市場の流れを踏まえながら、私たちは新しい切り口を提案したいと考えた。その考えを形にしたのが、9月発売予定の新商品の「ナイス!クラッカー 紅しょうがサワークリーム味」である。

紅生姜もサワークリームも、それぞれ単独では珍しいフレーバーではない。しかし、この組み合わせはこれまでほとんどなかった。紅生姜のパンチにサワークリームのコクを合わせることで、新しいおいしさを提案できるのではないかと考えた。

商品には、惣菜系にも甘味系にも展開しやすいクラッカー生地を採用。パッケージは、親しみやすい世界観をベースに、レトロな雰囲気とジャンキーな楽しさを融合させたデザインとした。クラッカーの表面にはパセリをトッピングし、ひと目で味のイメージが伝わるよう工夫している。

商品化するのは、本当においしいと思えるものだけだ。ヒットしたからといって商品を乱発すれば、市場全体の寿命を縮めてしまう。それは最初の商品を発売した時から変わらない考えである。

私が育てたいのは、「紅生姜味」という一時的な流行ではない。大阪の食文化から生まれた一つのフレーバーを、これからも長く愛される文化として育てていきたい。そのためには、私たちだけでなく、それぞれのメーカーが工夫を重ね、新しい食べ方や新しい価値を提案し続けることが大切だと思っている。

紅生姜には、まだまだ可能性がある。その可能性を信じながら、これからも新しい価値を提案し続けていきたい。

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