漬物は自由

 食事は時にコストになる。何を食べるか考え、材料を揃え、調理し、食べた後には片付ける。外食で済まそうにも店を選ばなければならない。時間やお金だけではない。献立を組み、調理するにも知識や技術がいる。食事は案外、人に多くを要求する。

▼そんな時、漬物は強い。冷蔵庫を開け、開封して、ご飯の横に置けば立派な一食だ。白菜漬でも沢庵でもキムチでもいい。皿に移すのが面倒なら、カップ入りの商品を買って“直食い”すればいい。何も考えずに食べられる食品である。

▼これは現代の食品にとって案外重要な価値ではないか。タイパや簡便性が重視される中、時間だけでなく、考える手間を省くことにも需要はある。漬物は調理も味付けもいらない。二、三切れでもいいし、体調が許せばバリバリ食べてもいい。余れば冷蔵庫へ戻せばいい。

▼漬物には気負いがない。主菜にならなくていい。白いご飯に何か欲しい時、酒を飲みながら口寂しい時、ただ何かを食べたい時、そこにいれば仕事をする。食べ方を押しつけず、こちらの都合に合わせてくれる。漬物は自由だ。

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