森永製菓は犬用菓子でペット市場に参入する。
愛犬とともに発表会に臨んだ太田栄二郎会長CEOは、森永製菓グループのパーパスに基づき「人とペットの家族が同時に驚き笑顔になれる。そのような世界を作っていきたい」と意欲を示す。
商品はこの考えを反映。愛犬も飼い主も安心して同じ菓子を食べるという新発想で、長年信頼を築き上げてきたブランドを活用するなどして開発した。
3月3日から一部の流通企業で、「ひととペットプロジェクト」第一弾商品として「ミニムーンライトwithドッグ」「アイスボックスwithドッグ〈和梨〉」「冷凍ホットケーキwithドッグ」など計7品を新発売する。

少子高齢化と人口減少、ペットヒューマニゼーションの言葉が飛び交いペットの家族化が進んでいることを背景に、ペット市場を有望視しつつスモールスタートする。
展示会やイベントでの露出や大規模サンプリングなどを通じて、飼い主との対話を重ねながら普及に取り組む。
「愛犬と飼い主が笑顔になる結果が売上につながるため、無理して売る気はまったくない。最初はご理解いただいたところでテスト販売する。売場や雑貨であるペットフードと食品という流通上の大きな課題もあり、それらを乗り越えてわれわれの想いを広げていく。時間がかかっていいと思っており、1、2年で結果が出るとは思っていない」との考えを明らかにする。
ペットフードは法律上、雑貨に分類される。今回の商品は、ペットフードと食品のルールを遵守し食品として開発され食品工場で製造している。
開発を担当した鈴木聡子新規事業開発部ひととペットプロジェクトリーダーは「分からないことが分からないゼロからのスタートだった」と振り返る。
「ペットフードと食品では法律、監督省庁、考え方がまったく別物。開発も難航した。人に対する知見はあるが、愛犬にとって本当に安心安全な材料やおいしさの正解が分からなかった」と続ける。
開発を進めるにあたりグループ企業や外部から協力を得る。ペットフード専門メーカーの森乳サンワールドのノウハウを融合させたほか、「ワンゼリースティックwithドッグ」と「ワンゼリーパウチwithドッグ」の開発では、アニコム損害保険と共同開発して愛犬の健康データ分析に基づく知見を取り入れた。

「ミニムーンライトwithドッグ」と「アイスボックスwithドック〈和梨〉」については、成城こばやし病院に勤務する獣医師・高柳かれん氏が監修した。
「愛犬と同じおやつを一緒に食べてもっと幸せになる世界の実現を目指しているが、このようにわれわれが良かれと思っていることが本当に愛犬のためになるのか。人間のエゴではないか」という根本的な問いには、日本における動物行動学の第一人者で東京農業大学農学部動物科学科の増田宏司教授に相談を持ちかけたところ「心理的な満足感や幸福感が高まることの可能性が示唆された」という。
増田教授は、動物行動学的な観点での行動解析などを踏まえて「犬という動物は飼い主が良かったとかうれしいと思っていることに確実に気付けるということが、この15年、20年の経緯で明らかになっている。うれしそうな飼い主を見てワンちゃんもうれしくなり、飼い主がそれを見てまたうれしいと思える」と語る。
高柳氏も「人とペットの健康は深いかかわりがある。食の共通の時間をつくり出すことで、人もペットも幸せをつくり出せる」との見方を示す。

森永製菓グループのパーパスは「森永製菓グループ、世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」。
太田会長が2019年の社長就任時に社員にアイデアを募るなどして旗振り役となり議論を重ねて制定された。
次いで制定された2030ビジョン「森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。」では、心の健康も前面に押し出している。
今回の取り組みについて太田会長は「あなたがおいしいと、私もうれしい。食を共有することで人もペットも笑顔になれてパーパスの実現につながる。お菓子の情緒的価値、人の垣根を越えて、おいしい、楽しい、うれしいという心の豊かさにつながる笑顔への取り組みになっている」と力を込める。


