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飲料系飲料キリンビバレッジ、飲料業界の悪い流れと決別 強みの商品開発力を磨き付加価値と健康に特化した総合飲料メーカーへの転換加速

キリンビバレッジ、飲料業界の悪い流れと決別 強みの商品開発力を磨き付加価値と健康に特化した総合飲料メーカーへの転換加速

 キリンビバレッジは、価格競争と決別し、強みとする商品開発力に磨きをかけて付加価値と健康に特化した総合飲料メーカーへの転換を加速させる。

 1月22日、事業方針発表会に臨んだ井上一弘社長は、近年激化する緑茶飲料市場での価格競争を例に挙げ「近未来で何が起きるかというと恐らく供給過剰になる。そうなると価格は下がり利益が出なくなるといった飲料業界の悪い流れになっていく。当社はそこ(価格競争)には入らず、強みである商品作りの知識・技術を活かし少しでも付加価値を創出して高く買っていただける商品に変えていく」と語る。

 付加価値創出の柱を「プラズマ乳酸菌」入り飲料をはじめとするヘルスサイエンス飲料と定め、2035年にヘルスサイエンス飲料の売上収益を25年比2倍以上とすることを目標とする「BV2035(ビバ ニーマルサンゴ―)」を掲げる。

 ヘルスサイエンス飲料の売上収益構成比は25年の15.5%から35年に30%以上へと引き上げる。

 「BV2035」やパーパス「お客様の毎日に、おいしい健康を。」を社員に腹落ちさせるべく動画でフューチャーマッピングを作成した。

 フューチャーマッピングについて「10年どうなりたいかを言葉で伝えるのもいいが、みんながブレずにイメージできるものを作った。基本的には社内のモチベーションアップが目的だが、お得意先様のプレゼンテーションで最初に流させていただくと非常に(プレゼンに)入りやすくなるというメリットを得た」と説明する。

 フューチャーマッピングにはキリンビバレッジの出自も盛り込まれる。

 「当社は1963年、自動販売サービス株式会社としてスタートした。そのオリジンをしっかり踏まえて、キリンレモンから業容を拡大して大きくなった会社であることが描かれている」という。

 ヘルスサイエンス飲料は今後、ポートフォリオを拡充する。
 現在、免疫ケア・脂肪対策・熱中症対策・栄養素の補給の領域でヘルスサイエンス飲料を展開し、今後は未病領域で新たな事業の柱の確立を目指す。

 「大黒柱の免疫ケアや脂肪対策とは異なる軸でもう1、2本立てていかないと、将来的にヘルスサイエンス飲料の売上構成比を3割以上にするのは難しい。現在、いろいろ探索しているところ」と述べる。

 剤形など飲料以外の商品・サービスも視野に入れる。

 「商品開発研究所とマーケティング部は訓練をしっかりしており、味づくり・調味・調合・調香あたりは自信を持っている。現在は飲み物で提供しているが、将来的には飲み物以外の形になっても実力が発揮できると思っている」と自信をのぞかせる。

 価値提案の方策としてチルド売場に拡張する。

 「『おいしい免疫ケア』は要冷蔵(チルド)市場でのシェアも高まり、全社員が非常に高い意識を持ち創意工夫を凝らして活動したことで、25年販売数量は前年比3割増と大きく伸ばし市場に定着することができた」と振り返り、今年、チルド売場への新たなチャレンジとして「プラズマ乳酸菌」を配合した「つよいぞ!ムテキッズ」を3月17日から全国展開して子ども健康飲料市場に本格参入する。

 市場拡張の一環として海外市場にも挑む。
 既に台湾・香港・韓国に「午後の紅茶」や「生茶」などを輸出し、今春、「プラズマ乳酸菌」入り飲料を台湾に輸出開始する。

 ヘルスサイエンス飲料の脂肪対策領域では、花王から引き継いだ「ヘルシア」をリブランディングするとともに、「ヘルシア」の500ml当たり高濃度茶カテキン540mgを含む特徴をそのままに、キリンの技術を注入して飲みやすくした「ヘルシア うまみ緑茶」を4月7日に新発売する。

 「ヘルシア」のリブランディングについて、鈴木郁真執行役員マーケティング部長は「より幅広い無糖茶ユーザーに向けて日常飲用していただけるような提案を強化していく」と力を込める。

 ヘルスサイエンス飲料のウェイトを高める一方で、総合飲料メーカーの看板は下ろさない。

 井上社長は「ヘルスサイエンス飲料の売上収益構成比を35年に3割以上に引き上げたい。ただ残りの7割は食領域の『午後の紅茶』や茶系飲料、『トロピカーナ』『ファイア』であるため、そこはバランスをしっかりとりながら売っていく。やはり飲料メーカーは、あまりにも売り物が偏ってしまうと、お客様から『魅力的にどうなの?』という問いが生まれてきてしまう。おいしいものを作れる会社で健康軸にも取り組むというのがいいと思う」と語る。

 新事業創出も見据える。そのための組織については「今は全てエリアで分けているが、伸びていくマーケットの中で戦えるような組織に変えていきたい」との考えを明らかにする。

 自販機については、パーマシン向上に取り組みつつ「キリンの自販機で購入すると面白いことがあるといった仕掛けをやっていきたい」と意欲をのぞかせる。

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