スーパーマーケット事業の「リージョナルシフト」を進めるイオングループ。最大消費地の首都圏は、売上高1兆円を超えるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)を軸に競争力強化を狙う。昨年5月に就任した井出武美社長のもと、第4次中期経営計画の確実な実行とともに、グループシナジー創出と事業の構造改革を推し進めている。
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井出社長は「一部アナリストから収益率の低さを指摘される。グループのスケールメリットや各事業会社の強みを生かしきれていないと認識し、社長就任後に『100日改革』として経営幹部と膝詰めの議論を交わした。中計をブラッシュアップし商品・売場を磨き上げる」と語る。
3月には、傘下のマックスバリュ関東、ダイエー関東事業、イオンマーケットが経営統合し新会社イオンフードスタイルが発足。併せて新店舗フォーマット「生鮮デリカ拡大・価格強化型」1号店をオープンし、2030年度までに全店をリニューアルする方針だ。
「生鮮デリカは価格以上に美味しさ・鮮度が大切。価格は客数にヒットし、生鮮デリカ強化は来店頻度と客単価にヒットする。実験店ではかなりの成果が出ており、新店舗フォーマットでしっかりとした収益モデルを作り上げたい」と力を込める。
デリカ商品の供給インフラ面では「プロセスセンター(PC)改革」が喫緊の課題となる。現状、各事業会社が個別にPCを展開。一からすべて立ち上げるのではなく、各PCの製造機能やキャパシティ、設備を見直し、首都圏でのPC最適化を進める考えだ。
「既存のグループ資産を有効に活用しながら、新商品の開発強化や店舗の作業負担軽減を図る」。また、今春にはU.S.M.H内に「デリカチーム」を新設。グループ共同開発商品の投入のほか、米や海苔などデリカの原材料を集約。スケールメリットによるコスト減と商品の品質向上を狙う。
現在の消費環境下において価格対応は避けられないが、「収益モデル」が構築されない中での価格競争は、さらなる収益率の低下を招く諸刃の剣となりかねない。「お客様は商品を価値で買うが、価値(V)=品質(Q)÷価格(P)。カテゴリーごとに品質と価格のバランスを取り、価値を最大化することが大事だ」としている。
ナショナルブランド(NB)商品はすでに共通仕入、共通帳合に移行。今後は棚割りの統一を見据える。イオングループのカテゴリーマネジメントの仕組みにU.S.M.H各社も参加。「共通棚割り、共通販促など優先順位をつけて一つ一つ詰めている段階」という。また、プライベートブランド(PB)はU.S.M.Hの「eatime」に集約、イオングループPB「トップバリュ」もさらに拡大する方針だ。
井出社長は「イオングループとのシナジーによりサプライチェーン改革で原資を作り、プロセスセンター改革に投資してより良い商品を店舗に提供する。こうした収益モデルを構築し持続的に投資可能な好循環を作っていきたい」と強調した。
