日本の海水を原料にイオン交換膜濃縮法で鹹水(かんすい)を作って製塩する国産塩メーカーは、2工場を運営する最大手の日本海水、400年の製塩の歴史を受け継ぐ鳴門塩業、197年の歴史を持つナイカイ塩業、三菱鉱業(現・三菱マテリアル)の子会社を前身とするダイヤソルトの4社。
イオン交換膜法製塩は、1905年から1997年まで続いた塩専売制度下で1960年代以降に導入された。塩田で必要とした広大な土地が不要となり、製塩の生産性が飛躍的に向上した。
イオン交換膜のごく微細な穴を通して電気透析によりかんすいを生みだすため、安全面で優れているのが大きな特徴だ。食品加工の現場で異物除去の工程が不要であることから、食品加工分野で使用される塩の75%以上を国産塩が占めている。
これは商品の差別化がしにくい一方、有事の際に代替可能な商品を供給しやすいというメリットがある。製塩設備は金属が腐食しやすく定期改修が不可欠で、不測の事態を避けがたい側面もある。各社とも一定の品質を保っていることは、塩の安定供給に寄与し、日本の食品産業を支えてきた。
2026年、塩業界は「塩の価値向上」に注力する。国産塩4社で構成する日本塩協会は、日本の食を支える塩の意義を訴え、塩事業センターが事務局を務める「塩と暮らしを結ぶ運動(くらしお)」との連携も図っている。塩業関連5団体が参加する全国塩業懇話会も、塩の価値向上に向けた取り組みを開始した。
そうした中、業界で大きな話題となっているのが、4月に発売を予定するダイヤソルトの洗滌(せんでき)塩「陽だまりのダイヤ」だ。
食品メーカーのニーズを踏まえて新たな洗浄技術を開発した新商品で、輸入天日塩を原料に洗浄と高精度の異物除去を行うことで、食品加工に使用できるとする。屋外で結晶化する天日塩は、食品加工に用いる場合、一般的にろ過工程を必要とする。「陽だまりのダイヤ」では現場でのろ過工程が不要な品質を実現できたという。
製造実機の完成予定は2月。塩の価値向上につながる製品となるかどうか、注目が集まる。
(1月16日号本紙に「新春塩特集」)
