SGSはスイス・ジュネーブに本拠を置き、試験・検査・認証機関としては世界最大級の規模である。世界115カ国以上に2500以上の事務所と試験所を有し、各産業分野における検査や試験、公的機関により定められた規格の認証などを行っている検査・検証・試験認証のリーディングカンパニーである。その日本法人がSGSジャパン(TEL050-1780-7874)だ。ビジネスアシュアランス 食品認証主任審査員の大枝安紀子氏に聞いた。
- インバウンドによる日本食品の需要が伸長する一方、食品の海外輸出を目指す企業が増えています。これに伴い、食品安全のさらなる強化が求められています。貴社のFSSC22000(以下、FSSC)認証審査の動きからお聞かせください。
大枝 9月末日現在、FSSCは376件を認証登録しており、徐々に増加傾向を示しています。昨年からFSSCが新たな要求事項を盛り込んだバージョン6.0に移行しました。これにより、食品安全を中心に、品質管理やより確実な製品開発、食品文化の醸成、SDGsに通じるフードロスや廃棄物削減といった具体的な要求事項が増え、食品安全のみならず、大きく食品事業の運営に必要なマネジメントシステムに進化しました。
つまり、FSSCさえ認証取得していれば、品質も含めて管理できる規格にスケールアップした印象を受けています。その結果、審査内容の幅が広がり、それだけ相互コミュニケーションが深まり、より質の高い審査につながるようになりました。
- 現在、バージョン7.0が開発中であり、来年には発行される見込みのようです。急速に“進化”を続けるFSSC認証取得のメリットは。
大枝 バージョン6.0への移行時に、製品品質も含めて審査ができるようになったことに加え、食品産業でも環境対応への要求は強いものがありますが、これにつながるフードロスや廃棄物の削減が含まれています。さらには食品防御のための軽減方策の検証手順が盛り込まれるなど、食品事業運営に必要な要素にかなり幅広く踏み込んでおり、その取得メリットは年々高まっています。
また、マネージャー層も含めた社内全体の食品文化の創出が求められており、一丸となって良質な食品を製造していこうという雰囲気のある“会社づくり”にも役立てていただけます。それだけの規格を第三者によって認証取得していることは、事業者には大きなアピールポイントになるはずです。これは食品輸出の際にも同様なことがいえると思います。
- 国際的な審査登録機関である貴社のFSSC審査の特徴は。
大枝 当社は、世界にネットワークを有しており、特に輸出する食品へのFSSC認証審査に強みがあります。当社が世界において検査・検証・試験・認証の実績を長く積み上げてきているからです。また、認証審査だけでなく、輸出食品の成分分析などもワンストップサービスでご提供できるのも強みです。
SGSグローバルと称していますが、当社はUKAS認定を受けており、FSSC認証審査をコントロールしているUKAS認定事務所から、国際的な感覚で洗練したさまざまな情報が送られてきます。そのため、認証登録組織様などにもタイムリーにグローバルな情報をお知らせできる特徴があります。
また、審査員は全員が食品事業の経験者のため、現場に強く、現場をよく観察した緻密な審査で適合性を判断できます。加えて、当社は幅広い食品カテゴリーをさらに細分化したサブカテゴリーの審査資格を独自に付与しており、より現場のカテゴリーに焦点を絞り込んだ審査ができるのも大きな特徴です。
- 食品業界へメッセージをお願いします。
大枝 FSSCは、現場の方々が一体となってマネジメントシステムに参画し各人が食品安全に取り組んでいるのだという自覚を持っていただくことより、食品や食品包材などの製造工場が現場の方々を巻き込み、食品安全を主眼に置いた多様なシステムを構築し、PDCAサイクルを回していくことができる規格です。当社の審査員が丁寧にバックアップいたしますので、ぜひ認証取得にチャレンジしていただきたいと思います。
