昨年までの5年間で市場が123%に伸長したノンアルコール飲料。この分野の商品展開が他社に比べて手薄だったサッポロビールも、シェア獲得に本腰を入れる。着目したのが、未開拓ゾーン“スポーツノンアル”。新たな飲用オケージョンの提案で有望市場に切り込む。
2月25日から近畿エリア限定で発売するのは、ノンアルコールビールテイスト飲料「サッポロSUPER STAR(スーパースター)」。スポーツ関連事業を展開するミズノと協働開発した。
「これまでノンアルはお酒の代わりとしてのニーズで伸びてきたが、お客様の声を聴くと、単なるお酒代替以外の飲料を求める兆しも見えてきている」。そう説明するのは、サッポロビール上席執行役員マーケティング本部長の坂下聡一氏(12月16日の発表会で)。
同社の消費者調査では「お酒味を飲みたいわけじゃないが、普段飲むモノとは違うものが飲みたいときがある」「お酒味やお酒に近いデザインなので、どうしても比較してしまい残念」といった声が聞かれたという。
「ノンアルの開発は2つの方向で進めている。ひとつはおいしさ追求。そして、新オケージョン展開で新しい役割を持つ商品を開発し、ノンアルの市場と価値の拡張に取り組む」。
社会課題として着目する健康寿命の延伸へ、「適度な運動」に貢献するためのノンアル開発に着手。その際に声をかけたのが、スポーツの振興を通じて社会に貢献することを経営理念に掲げるミズノだった。

実はミズノでも、スポーツ後のシーンに向けたノンアル「PUHAAH(プハー)」を南信州ビールとの協働開発により展開中。ただ販売規模は限られていたことから、今後の方向性を模索しているところだった。
「本当に絶妙なタイミングで声をかけていただいて、非常によかったと担当者ともども実感。これがなかったら、この事業はどうしようかという状況だった。今日このような形でお披露目できてよかった」。ミズノの中田匠常務が喜びを語る。
麦芽とホップに加え、クエン酸や運動で失われやすい電解質(ナトリウム)を配合。運動後のインタビュー調査を参考に味覚設計を進め、運動をやり切った後にしみわたる、すがすがしいうまさのノンアルコールビールテイストに仕上げた。
運動のつらさの先にある“ごほうび”として、後ろめたさを感じずに飲めるスポーツノンアルの新習慣を提案。運動の継続を応援する。
「スポーツノンアルの市場ポテンシャルは、ビール大瓶換算で225万函と推計。ノンアル市場の1割近くと、けっこう大きい」(坂下氏)。既存ノンアルのほか、スポーツ飲料や炭酸水ユーザーの流入も狙う考えだ。
20日開催の「ミズノドリームプロアマゴルフ」を皮切りに、スポーツイベントや関連施設でのPR・サンプリングも続々と実施予定。全国展開を視野に、まずは近畿圏にフォーカスして市場創造に取り組む。
「サッポロSUPER STAR」は350㎖缶・6缶パック。アルコール分0.00%。オープン価格。2月25日から2府4県で限定発売する。
