業務用冷凍食品が主力の日東ベストは、新しい発想での商品開発を推進するとともに、ユーザーのニーズに寄り添った規格や価格の提案を強化する。このほど開催した記者懇談会の席上、嵯峨秀夫社長は「原材料費や人件費、物流費などのコスト上昇で価格改定を検討せざるを得ない状況だが、単純な値上げだけでなく容量や入り数の変更、品質改良なども積極的に検討していく」との考えを示した。
食物アレルギー対応商品に手応え
現状について「当社は良くも悪くも伝統ある企業。それゆえに新商品開発では過去に売れた商品、既存設備で作りやすい商品を優先し、新しい発想が足りないと感じている」と指摘する。
その中では、食物アレルギー対応の「フレンズミール(FM)」ブランドで発売した新商品「チーズ風ソースインハンバーグ」を評価。卵・乳・小麦を不使用でチーズ風ソースの入ったハンバーグで、チーズらしい風味と時間経過しても口どけの良いソースが特長。順調な出足をみせ、生産工場・九州ベストフーズの稼働率も上がっている。
「過去を振り返ると、現在の主力であるハンバーグ、牛丼の素、あるいは豚カツなども始めたころは利益商材ではなかったが、改善を重ね続けて会社を支える商品群に育った。以前の成功例にとらわれ過ぎず、新たな発想で開発に取り組みたい」とした。
自身が2001年から20年以上にわたりグループ内の日配食品に携わった経験から、「ユーザー目線で意識改革や具体的な進め方を変えていきたい」との考えも持つ。
サプライチェーンのあらゆる過程でコスト高が進む環境下、「価格改定の検討と並行して既存品の見直しを進める」と言及。
「ニーズに合った量目や入り数の変更に加え、お客様からは多少品質を落としてでも価格を下げて欲しいとの要望も少なくない。過剰包装を減らしてプラスチック使用量の削減も実現できれば。まずは既存工場で対応可能なことから取り組む」と語った。
提案型営業で大口ユーザー開拓
上期(4-9月)業績は売上高282億6000万円(前年同期比3.5%増)、営業利益6100万円、経常利益9000万円、純利益7100万円。塚田莊一郎会長は「増収増益だが計画未達で満足できる結果ではない」とした。
売上の概要は渡邉昭秀取締役常務執行役員が説明。主力の冷凍食品部門は214億4700万円、1.3%増だった。業態別にみると、ウエートの大きい総菜分野は前年並み。直近は得意の提案型営業が奏功し、下期にかけて大口ユーザーの開拓に手応えを得ている。給食分野は1%増。学校向けは微減だが、病院・施設向けが6%増、産業給食が4%増と伸長。外食分野については二ケタ増を目指した中で商品育成が追いつかず4%増。
新商品ではアレルギー対応の「チーズ風ソースインハンバーグ」をはじめ、「スムースグルメ(SG)」ブランドで今春から展開する「おかゆセット」も好評。「人手不足の病院・施設を中心に拡大傾向。他社に先行することで市場を創っていきたい」(渡邉取締役常務執行役員)との意気込みだ。


