日本コカ・コーラ(CCJC)とコカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)の各拠点から集まった社員約50人は11月14日、東京都八王子市の上川の里特別緑地保全地区(上川の里)の森に入り間伐に汗を流した。
CCJCとCCBJIが2023年6月に八王子市と締結した水資源保全に関する協定に基づく活動となる。
CCBJIが全17工場の周辺流域で実施しているコカ・コーラ「森に学ぼう」プロジェクトと称する水源涵養活動の一環でもある。

取材に応じたCCBJIの金澤めぐみコミュニケーション戦略統括部統括部長は「我々のビジネスにとって水というものは本当にかけがえのない大切な資源。コカコーラシステムの社員として一緒に取り組みができることは大変意義のあるのこと」と語る。
CCJCの田中美代子広報・渉外&サステナビリティ推進本部副社長も水が大切な資源であることに触れ「製造で使った水はきれいにろ過処理をすれば自然に戻すことができるが製品の中身に使っている水はできない。中身に使っている水を自然に戻していく活動が水源涵養活動」と説明する。

日本のコカ・コーラシステムでは、2016年に国内の水源涵養率100%を達成したのちも、各工場と周辺流域における水資源保全活動などを継続している。
上川の里での同プロジェクトは昨年に続き2回目。協定締結からは3年目に突入し、地元有志やNPO法人・森のライフスタイル研究所の協力を得ながら水源保全と里山復元に取り組んでいる。
その進捗についてCCBJIの金澤統括部長は「個別の水源涵養率は現時点では公表していないが、全体としては非常に大きく目標を上回っている」と胸を張る。
木々の密集度が高いと里山が雨傘のようになり、降水があっても、雨水が里山には蓄えられず外に流れしまい、下草が生えなくなり土壌を保つ機能も低下する。
間伐により陽射しが差し込み明るい森になり幹や根が発達し下層植生が繁茂するなど生物多様性にも寄与する。

八王子市の初宿(しやけ)和夫市長は「かつての鬱蒼とした森林が本当に保全して下さるがゆえに明るくなった。コカ・コーラの活動エリアの麓にある上川口小学校の裏手も本当に明るくなった。水を保全する力も増してきているように思う」と笑みを浮かべる。
八王子市民の水源保全活動に対する関心の高まりも感じるという。
今後については「かつて当たり前に見られたトンボやカエルが今やレッドリストに入っている。これらの減少を食い止めて、さらに回復してゲンジボタルとヘイケボタルが一緒に見られるような環境を期待している」と述べる。

今回は、上川の里北沢谷戸広場から上川口小学校裏手の未着手エリアまで約20分かけて移動し笹狩りと竹の伐採を手分けして行った。
コカ・コーラ社員を先導・指南した森のライフスタイル研究所の竹垣英信代表理事所長は、間伐されたエリアと間伐前のエリアを示しながら森について説明。
全般的な森の傾向について「動物は人の手が入らず鬱蒼とした場所を陣地とみなす。昔は人と森の関わりが多く、動物・人間のどっちつかずの緩衝エリアがあったが、今はそれが無くなり、頭数が増え競争に敗れたクマなどが生活圏に入ってきている」と指摘する。

現在、北沢谷戸広場の目の前には田んぼが広がる。2008年には上川の里を産業廃棄物の最終処分場とする計画が浮上するも、住民の反対運動により、2011年、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区に指定される。
指定後、東日本大震災の発生により水資源の保全活動は足踏みしてしまい「様々な企業さまと水資源保全に関する協定を結ばせていただいた」と八王子環境部環境保全課の米本光治主査は語る。
締結企業は以下のとおり。Hondaと森のライフスタイル研究所(2020年)、NPO法人・街づくり上川(21年)、NTTドコモ(22年)、CCJCとCCBJI(23年)、カルビー(24年)。
米本主査は「私の中ではどんどん綺麗になっていっている。猛禽類を見かけることもあり、そういった大きな鳥の生息は生態系のピラミッドがすごく整っている証。今後も一緒にやらせていただきたい」と期待を寄せる。


