伊藤忠食品の岡本均社長は10月31日に東京本社で開いた第2四半期決算説明会の席上、下期の見通しについて「継続的な物価上昇で節約志向が高まる一方、高付加価値品や差別化商品も売れており、消費の多様化・複雑化が進んでいる」としたうえで、「下期も引き続き低重心経営を徹底しつつ、マーケットの変化を機敏に捉え、消費活性化に向けて情報(デジタルサイネージ)・商品開発・物流など重点分野の取り組みを強化する」との方針を示した。
同社の上期決算は、売上高3657億円(3.8%増)、経常利益68億円(2.7%減)。経常は前年の持分法投資利益増加の反動で微減となったが、営業利益段階では17.9%増と伸長した。「4月のビール値上げや前年8月の南海トラフ地震臨時情報の反動も少なく、上期は想定を上回る進捗」(岡本社長)。売上は値上げによる物量への影響は一部でみられるものの、新規取引の拡大も貢献した。
重点分野の取り組みでは、デジタルサイネージの広告放映台数が上期1万9000台に拡大。チラシアプリとの連携によるコンテンツの訴求力アップを図り、小売業・メーカーとの取り組み強化が進んでいる。
商品開発では、冷凍果実「凍眠フルーツ」や、クリスマスケーキ・おせちなど低温分野の取り組みが拡大。多様化する消費者の幅広いニーズを充足する商品開発が成果を挙げた。
物流では、製・配・販でサプライチェーン全体の効率化を推進。帰り便の有効活用や入荷予約受付システムの活用拡大など、積載率向上と荷待ち時間削減につなげている。
なお、アサヒビールのシステムトラブルによる影響について、福嶋義弘取締役専務執行役員管理統括部門長は「収束の見通しが立たず、業績への影響も懸念されるが、通期の利益計画には当初から5億円のバッファーを見込んでおり、期初の目標に変わりはない」とした。
そのうえで「アサヒグループは私どもにとって大事な仕入先であり、最大限の支援を行う。小売店への安定した商品確保に努め、完全再開した段階では、万一棚落ちした商品も必ず戻してもらえるようにフォローしていく」と語った。


