石井食品の八千代工場ではこのほど、1951年から取り扱う栗の加工や品質保証番号によるトレーサビリティーの管理体制などの工程をメディアに初めて公開した。同社では「からだに優しく、心が喜ぶ食をお届けする」ということを念頭に置き、「厳選素材」「品質保証番号」「無添加調理」の三大原則を軸に、徹底した品質管理に取り組んでいる。
八千代工場のデリカ棟では手作業による栗の渋皮むきから、ボイル、充填・包装までを行う。原材料の調達にあたっては社員が自ら産地を訪問。各地域で生産される「本当においしいもの」を自分たちの足で見つけ、旬の食材だけを仕入れ、消費者に届けることなどが理由だ。同社では1995年から製造工程で食品添加物を使用しない無添加調理に移行。2000年からは全製品でトレーサビリティーシステムを確立した。この取り組みにより品質保証番号を製品に付与したことで、原料調達から販売までのサプライチェーンをトレース可能にした。サプライチェーンを可視化し、原材料の履歴やアレルギー成分の有無など多岐にわたる項目を管理する。
八千代工場に納入される栗は熊本・やまえ産、京都・京丹波産、茨城県・笠間産。原料入荷の際には仕入先情報、収穫日、品種などの情報を2次元コードで管理。工程を追うごとにデータは蓄積される。納入された栗は、室温を10℃以下に維持した予備室で一時保管する。その後、デリカ棟の栗の加工場に運ばれるが、栗は鮮度を保つために氷水に浸し1週間以内には使い切る。鬼皮がむききれないふたご栗や質の悪い栗を除去。食品添加物を使わずに調理するため、商品の品位が栗の質に左右されるためだ。ここ数年は酷暑が栗の生育に大きく影響している。平均すると歩留まりは半分にも満たない。質のチェックは工程ごとに行うが、なるべく手むきより前の工程で良品を選別する。

皮むきは機械に栗を投入し、粗むきした後に作業者が手作業で渋皮をていねいにむく。「栗ご飯の素」で使用する栗は、風味が残るように渋皮を少し残し、栗きんとんなど甘露煮で使う栗はすべての皮を手むきする。この日、作業場内にはJポップが流れていたが、BGMにより生産性を高めることが理由だ。音楽を聴きながら作業することで、1人当たり毎時1㎏生産性が向上したという。むき終わった栗は再び水漬け。その後は調理工程でボイルし、充填・包装ラインに送られる。栗は1パック82gで充填。パックごとにパレットに並べ完了する。
同社では無添加調理・国産素材にこだわり、栗を使ったおせちについても新たな提案を行っている。次世代につなぐ年始の食卓と地域共創型商品のさらなる開発にまい進する。


