サントリーHD 新浪会長が辞任 購入サプリへの捜査受け 「大変残念」鳥井社長

サントリーホールディングスは9月2日、同社代表取締役会長の新浪剛史氏が1日付で辞任したと発表した。

同氏が購入したサプリメントが違法成分を含む疑いから、8月22日に警察による捜査が行われた。同氏からは、適法との認識のもとに購入したとの説明があったという。

現在も捜査が続いているが、同26日に開催された取締役会では、サプリの購入にあたり注意を欠いたことでトップとしての資質を問題視。全会一致で辞職を求め、新浪氏と協議のうえ辞任届を受理した。

新浪氏は三菱商事を経て、02年から社長兼CEOを務めたローソンでは経営の立て直しに腐心。敏腕経営者としての知名度を確立した。親交のあったサントリーHDの佐治信忠社長(当時)の要請を受けて、14年に同社社長に就任。創業家以外からは初のトップとしてグループをけん引し、米蒸留酒大手ビームの買収を成し遂げるなど、世界を奔走しながら企業価値の向上に大きく貢献。今年3月から会長に就任した。

9月2日の緊急会見で、鳥井信宏社長は突然の発表を謝罪したうえで「グループのトップマネジメントとして法令に違反しないことは当然であり、サプリ購入にあたってはしかるべく注意を払うべきだった。その認識を欠いた新浪氏の行為は、代表取締役会長としての資質を欠くと判断した」と説明。

そのうえで「新浪氏は大胆で決断力と実行力のある経営者として尊敬していた。この10年間で、グループの売上・利益とも飛躍的に拡大させたことは動かしがたい事実。私も新浪氏と一緒に仕事をしてきたし、二人三脚でやっていこうと言っていたので大変残念だ」と言葉を詰まらせた。

新浪氏の後任は置かず、代表取締役会長は佐治信忠氏が1人で務める。国内外での対外的な交渉など、新浪氏が担ってきた実務は鳥井社長が引き継ぐ。

サプリの国内最大手を抱えるグループにとって、企業イメージへの打撃にもつながりかねない今回の事態。早期の信頼回復へ全力を挙げる方針だ。