ニッスイ 中計でさらなる成長目指す 水産資源・加工技術が強み

ニッスイは、中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」(25~27年度)のもと、強みである水産資源へのアクセスや食品の加工技術を生かし、国内外でさらなる成長を目指している。最終27年度の目標は売上高9700億円(24年度8861億円)、営業利益410億円(同317億円)に設定。25年度の第1四半期(4~6月)は売上高2.2%増、営業利益5.7%増と順調にすべり出した。

このほど本社で事業説明会を開催。食品事業の第1四半期は原材料の米・すり身などのコスト上昇を海外やコンビニ向けの好調で吸収し増収増益を確保した。

家庭用冷凍食品は前年並みだったなか、「まんぞくプレート」シリーズが7割増と続伸。市場データではワンプレート商品のナショナルブランド(NB)でカテゴリーシェア2位と存在感をみせる。

梅田浩二取締役専務執行役員は「他社のワンプレート商品はピラフや炊き込みご飯など加工米飯を使っているケースが多いが、われわれは自社グループのチルドベンダー事業が持つ炊飯技術を生かしたおいしい白飯が特長。それに合うおかずとのセットで独自性を出せており、女性や高齢者など幅広い消費者に支持されている」と話す。

業務用食品は3%増。とくに節約・簡便・効率的がキーワードの「E調理」シリーズが大幅増。揚げ物からパスタソースまで29品もの豊富なラインアップも特長で、人手不足の各業態から引き合いが増えている。「栗かぼちゃ旨煮」などが人気。

水産事業は浅井正秀取締役常務執行役員が説明。「New Value」をキーワードに養殖事業の拡大や高付加価値化の推進に取り組んでいる。次期中計の最終30年度までにサーモンはチリで種苗生産強化により5万トン体制、国内は三陸エリアの拡充をテコに1万トン体制をそれぞれ計画。ホタテはオホーツク海での取り扱いを増やし世界各国への輸出も強化する。高付加価値化の一環で海外は中国、タイに続き昨年からベトナムにも加工拠点を設置。切り身やエビ加工品などのラインアップを充実させている。

海外事業は、売上比率を前期の約40%から27年度43%、30年度50%に引き上げることを目標に掲げる。養殖事業についてはチリ・日本のサーモンや「黒瀬ぶり」などを中心に価値を最大化しながらグローバル販売を加速させる。

海外食品はシェアトップの水産フライ市場で圧倒的なNo.1を確立するとともに、北米のアジアンフードや欧州のタパスなど第二の柱の育成も図る。

これまでの経緯について、倉石曜考取締役執行役員は「北米と欧州を主体にM&Aとオーガニックの両輪で成長してきた」と説明。さらなる需要拡大に応えるべく、北米はゴートンズ社の新工場が25年9月に、欧州のシテ・マリン社は26年前半に新ラインが稼働する予定。