アイス市場 昨年は金額・物量ともに過去最高に 夏の猛暑と消費通年化が後押し

日本アイスクリーム協会が6月にまとめた2024年度(24年4月~25年3月)の販売実績(メーカー出荷ベース)によると、アイスクリーム市場は金額ベースで6451億円(前年比6.1%増)と過去最高を記録した。

物量も93万5916㎘(同3.1%増)と歴代2番目の水準となった。さらに、リッター単価も689円(同2.8%増)と過去最高を更新。金額・物量・単価のすべてで前年を上回る結果となった。

販売好調の背景には、記録的な高気温の影響が大きい。2024年の日本の年平均気温は基準値(1991~2020年の30年平均)を1.48℃上回り、統計開始以来最も高く、夏場の消費を強く後押しした。

価格改定による売上増だけでなく、業界を挙げた高付加価値商品の展開、ブランド強化、製造ラインの更新などの取り組みも奏功し、需要の底上げが図られた。季節要因に左右されやすい業界ながら、消費の通年化も進展。販売金額は上期が3875億円(同7.3%増)、下期が2576億円(同4.3%増)と、年間を通じて安定した需要がみられ、「夏が駄目なら1年が終わる」という以前の構造から着実に変化している。

形態別では、「マルチパック」が1658億円(同7%増)と家庭内需要を背景に市場を牽引。「紙カップ」「プラカップ」「モナカ」「業務用」も揃ってプラス成長を示した。「スティック」は微減ながら、「その他一般(サンド、ケーキ、もちアイスなど)」の高価格帯商品の伸長がカバーした。

また、物量面では「氷菓」が19万3704㎘(前年比13.1%増)と好調で、「アイスクリーム」「アイスミルク」も前年を上回った。「業務用」も10万7052㎘(同6.5%増)とコロナ禍前の水準に近づきつつある。

いまやアイスは単なる嗜好品を超え、「日常の癒し」や「生活必需品」としての位置付けが強まっている。今期も気温上昇が予想される中、通年での安定供給と商品価値の訴求が重視される。