雪印メグミルクとライオンは、資源循環型社会の実現を目指し、牛乳瓶などのプラスチックキャップを洗浄用品などの詰め替え容器に再利用する共同プロジェクトを始動した。
雪印メグミルクの宅配用びん製品から回収したキャップを原料に、ライオンが詰め替え容器として再生利用する。2026年秋の製品化を目指しており、食品と日用品という業界の枠を超えたサステナブルな取り組みに注目が集まる。
身近な製品に生まれ変わることで、消費者が資源循環を実感しやすくなるメリットもある。「資源循環を“自分ゴト”として捉えられる。消費者と企業双方にとっていい習慣作りを広げたい」(ライオン研究開発本部パッケージ開発研究所長の竹内祥訓氏)、「資源循環の新たなモデルケースとして社会貢献につなげていく」(雪印メグミルク研究開発部長の伊藤光太郎氏)など意欲を示す。
プロジェクトでは雪印メグミルクがキャップを回収・破砕・洗浄しライオンへ提供。ライオンはこれをペレット状に加工しフィルムに成形後ラミネート加工を経て製品化する。製品への配合率は当初数%程度とし、製造性やコストを考慮しつつ段階的に拡大していく。
ライオンによると、液体洗剤やシャンプーなどの詰め替え需要は高く、現在同社の洗浄分野における詰め替え品は出荷全体の85%超を占める。従来のボトルと比較しプラスチック使用量が大幅に削減できる一方、技術的な課題もある。
詰め替え容器は樹脂量を極限まで抑えた極薄フィルム構造のため、再生材を使用する難易度が高い。また、異なるフィルムを複数重ね合わせるためリサイクルが難しいという。これを受けて同社はフィルムの剥離性を高めてリサイクルしやすくしたり、素材を単一化する「モノマテリアルパウチ」の開発も検討している。
両社は今後、よりリサイクル性の高い詰め替え容器の開発やコスト効率の追求を通じて、循環型スキームの社会実装を目指す。
