アイルランド産牛肉 対日輸出 10年で倍増 食に持続可能な選択肢を

この10年にわたり日本に輸出され、高品質で牧草飼育の牛肉の安定供給を維持するアイルランド産牛肉。

19年にはアイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)が日本事務所を開設。これが大きな節目となり、同年の対日牛肉輸出数量は14年比413%と急増した。昨年までの10年間ではほぼ倍増となり、約1万9000tに達している。

日本向けの約8割を占める主力は、冷凍骨なし牛肉。一方、冷蔵牛肉は、全国の一流レストランで近年広く使われるようになってきた。

アイルランドの高い持続可能性と品質基準に従って生産される高級牧草飼育牛肉。この10年にわたる成長は、日本市場における評価の高まりを裏付けている。

ボード・ビアの日本事務所マネージャー、ジョー・ムーア氏は次のように話す。

「アイルランドの食料生産は500万の人口をカバーできる量を大きく上回り、180か国以上に牛肉、魚介類、乳製品を輸出。なかでも日本への輸出量は年々増加している。農家や工場は効率的な生産のために常に最新技術に投資し、関連業界で緊密に連携。日本市場の市場特性と需要を満たすための製品開発に加え、輸送の柔軟性に優れている」。

農場で採用する独特の仕組みも安定供給の要因に挙げる。

「国土の85%を占める牧草地は、牧草地を区画に分け、牛を区画から区画へと移動させるパドック方式の放牧を採用。牛が立ち入らずに草が生える期間を確保することで、年間を通じて安定した草を飼料として供給することができる」。

生産された牛肉は、EU全域で共通の「EUROP分類システム」に基づき等級付けされる。これにより一貫した品質基準が確保される仕組みだ。

強固な体格と最適な脂肪被覆の組み合わせにより、枝肉のほぼすべての部分が使用可能に。無駄が最小限に抑えられ、歩留まりが最大化できるのがメリットだ。

シェフはプレミアムステーキから二次カットまで、あらゆるカットで一貫した品質と食感を実現できる。この等級分けは、高級料理からカジュアルな食事まで、幅広い用途をサポート。フードサービスと小売業界の双方に、多用途で持続可能な選択肢を提供する。

都内のレストラン「ラ・ビスボッチャ」の料理長、井上シェフは「赤身肉と脂身の美味しさは、ラ・ビスボッチャの看板メニューである炭火焼き料理と完璧にマッチする」とアイルランド産牛肉を一押し。

ミシュラン二つ星のフランス人シェフ、ジャン=ポール・ジュネ氏も「お客様に最高の料理を提供したい。アイルランドには最高の牧草、最高の気候、そして牛が屋外で放牧されている。これはとても興味深いことだ」と太鼓判を押す。

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