J-オイルミルズ「おいしさデザイン」で挑戦 国内外で成長戦略を加速 春山社長が方針

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは13日の決算説明会で、油脂(あぶら)とスターチを組み合わせ、お客様の課題解決と新たな市場創造を実現する「おいしさデザイン」を磨きこみ、「成長に向けた舵を切る」と力強く語った。

同社の24年度連結業績は売上高2307億円(5.5%減)、営業利益85億円(18.3%増)、経常利益100億円(10.9%増)、当期利益70億円(3%増)。原料価格軟化に伴う油脂・ミールの価格下落で減収となったものの、付加価値製品が好調。家庭用マーガリンの終売やSKU削減など事業構造改革と経営基盤強化にスピード感を持って取り組み、各段階の利益、配当ともに過去最高水準を達成、業績復活を果たした。

4月に社長CEOに就任した春山氏は20年以降の原材料高騰による業績悪化からの復活に手応えを示しつつ、「海外を含めた成長領域の育成やスピード感が課題であり、(新社長として)事業成長シナリオの具現化と経営基盤のさらなる強化を目指す」と意気込みを示した。

主力の油脂事業では、サステック技術による長持ち油「長徳」、人手不足や品質安定化に貢献する調味・調理油「JOYLPRO」、使い勝手の良さと環境負荷軽減が支持されている家庭用油脂「スマートグリーンパック」シリーズなど付加価値製品群をさらに強化、おいしさ×健康×低負荷の実現と収益力強化につなげる。

成長戦略では、中食・外食の幅広い顧客接点と技術力を生かし、「おいしさデザイン」による事業ポートフォリオの高度化を進める。「油脂と機能性スターチを組み合わせ、お客様の様々な課題解決に貢献するソリューション提案に磨きをかけ、国内にとどまらず、海外(ASEAN、北米)でもおいしさデザインの展開を広げていきたい」。

経営基盤の強化では、人財育成強化と多様性の推進により、組織力・創造性の向上を目指すとともに、油脂・油脂加工品・スターチの素材別に3拠点に分かれていた研究開発拠点の統合を決定。異なる技術分野の組み合わせによりシナジー効果と、部門横断型の研究開発、コミュニケーションの促進により「イノベーション創出と中長期的な事業成長の実現を目指す」とした。

株式会社アピ 植物性素材