ジェー・ガーバー商会 手代木和人社長 業容拡大に意欲 飲料原料ビジネス拡大も視野

業務用フルーツ缶詰市場でトップシェアを握る「ゴールドリーフ」の輸入代理店ジェー・ガーバー商会が食品での業容拡大を視野に入れる。

同社の事業の柱は、モーターバイクの国際機関への輸出。前期(9月期)売上高35億円の3分の2ほどを占めている。今後は、残りの食品輸入事業に開拓余地を見込む。

2月1日、同社のトップが交代。代表取締役社長に就いた手代木和人氏は、三菱商事で約17年間にわたり飲料原料、中でも果汁畑を歩み業界内では“果汁のスペシャリスト”として知られる。2015年からはエム・シー・フーズ社長を8年間務めた。

白羽の矢を立てた前社長の村上高明相談役は、社員を介して手代木社長と知り合い「まずはお人柄に惹かれた。大きな組織で培われた能力と豊富なマネージメント経験も後任の決め手になった」と評する。

食品輸入事業の柱は南アフリカ産の「ゴールドリーフ」をはじめとするフルーツ缶詰と冷凍フルーツ。

手代木社長には「多方面の知識・経験・情報を生かして、缶詰と冷凍フルーツに加えて、もう一つ何か新しい柱をつくってほしい」と期待を寄せる。

手代木社長は新たな柱の候補に飲料原料ビジネスを挙げる。

「輸入代理権を取得しているフィリピンのフルーツ缶詰会社(PHILPACK)は、果汁も手掛けていることから、果汁供給不足の中で面白い展開ができるかもしれない」と語る。

食品輸入事業は、在庫を持たない代理店取引が中心。今後は、一定量の在庫ビジネスも手掛けてさらなる成長の余地を見極めていく。

「社員10人程度の会社なので効率がよく、このまま続けていく選択肢もある。しかし、それでは縮小均衡に陥りやすい。在庫を持つことで、国際相場、為替、輸送コストなどのリスクを伴い手間もかかるが、お客様の要望に合わせた受渡しを行うことは付加価値になる」との見方を示す。

在庫ビジネスに成長の余地を見いだせれば、売上高を数年以内に50億円へと引き上げていける可能性がある。

手代木社長は缶詰そのものの可能性にも期待を寄せる。

同社が手掛けるフルーツ缶詰と冷凍フルーツは、他社ブランドの小売用の缶詰や、外食店のフローズンドリンク、フルーツゼリーなど幅広い用途で使われている。量販店・スーパーでは、缶詰からパウチパックに詰め直して販売される動きもある。

「保存性があり、扱いやすい缶詰は災害が多い日本に欠かせない。事業者給食にも流通しており、缶詰は加熱済みのため、特に病院給食では安全な食品として取り扱いしやすい」と商機を見いだす。

屋台骨の産業機材の国際機関への輸出事業は、アフリカの発展途上国支援の色合いが強く、社会貢献の位置付けも含めて展開していくとともに、食品事業との親和性があり日本の高い技術・アイデアにあふれる機械の輸出を手掛け、事業全体で一体感を持たせることも視野に入れる。

ジェー・ガーバー商会の母体となる貿易会社ガーバー・ゴールドシュミットグループは1920年、ドイツと南アフリカで設立。現在は世界30か所に拠点を構える。

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