カフェインレスコーヒー市場が拡大している。
インテージSRI+によると、カフェインレスコーヒーの2024年販売金額は、前年比7.3%増の50億2300万円を記録し50億円の大台を突破した。
妊娠・授乳期の女性やカフェイン不耐症の生活者からの支持をベースに、コーヒーを日常的に飲用しつつも夜の飲用を控えるといった健康志向層の獲得が市場成長を大きく押し上げたとみられる。
ここでいう健康は良質な睡眠と関連する。就寝前に多量のカフェインを摂取すると、利尿効果や覚醒効果によって睡眠を邪魔すると言われている。
2020年以降、インスタントコーヒーとレギュラーコーヒーの両市場で拡大の一途をたどる。インテージ市場アナリストの木地利光氏は「とりわけ人気なのは、有機栽培のコーヒーを使用したと安全性を訴求する商品。健康のためカフェインの摂り過ぎを控えようとする健康志向の高い消費者に支持されているものと考えられる」と語る。

インスタントコーヒー市場でトップシェアを握るネスレ日本の「ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス」は昨年、約8%増となった同社のカフェインレスカテゴリートータルの伸びを上回る伸びをみせた。
レギュラーコーヒー市場でトップシェアを堅持するのはUCC上島珈琲。「継続して伸長している。『ワンドリップコーヒー コク深め』(8P)や『ワンドリップコーヒー』(16P)が好調に推移している」(UCC上島珈琲)という。
キーコーヒーは「KEY DOORS+」の「カフェインレス 深いコクのブレンド」(180g粉)と「ドリップ オン カフェインレス 深いコクのブレンド」(5P)の2品計の実績が24年4―12月の前年同期比で金額、数量ともに1・3倍に拡大した。
カフェインレスとコーヒー本来の豊かなコクや甘い香りを両立させた点が支持され、幅広い飲用者と飲用シーンを獲得していることが好調要因とみられる。
キーコーヒーの阿部祐美子R&Dグループリーダーは「カフェインレスコーヒーは、妊婦さんなどカフェインを摂取したくない人が飲むものといったイメージから様変わりして、今ではカフェインコントロールの流れもあり、コーヒーの選択肢の一つとして飲まれている」と語る。
小川珈琲のカフェインレス商品の24年9月~25年1月の売上高は、商品により伸長率は異なる中、前年比約10~70%増と好調。ECでの伸長や新規採用により価格改定後も伸び続けているという。
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