アサヒコは豆腐業界が直面する危機的状況を打開するため、豆腐復権を目指した新構想「クラフト豆腐プロジェクト」を立ち上げた。「サプライチェーン全体で豆腐価値を再認識し、売場、売り方、商品を変え、価格以上の価値をつくることで豆腐市場を復活させ、低価格“競争”を正当に競い合う“共創”に変える」考えだ。
価格“競争”から正当“共創”へ
「豆腐市場は過去10年で年率4~5%縮小の右肩下がり状態が続いている。値上げにより売価が上がったが販売個数は低下。価格転嫁できない企業は廃業、倒産に追い込まれている。流通は値下げによりお客様を呼び戻そうとしているが、メーカーは売価を上げられない状況。上位6社の平均売価は89・5円と低く、100円以下の購入者は最多の65%に達する」とアサヒコの池田未央社長は厳しい市場環境を指摘する。
そこで同社は大豆生産者、メーカー、流通のサプライチェーン全体で豆腐好きポテンシャル層を活性化し、「価格」ではなく「価値」で選ぶ買い方を促進するため「クラフト豆腐プロジェクト」を立ち上げた。
![職人豆腐2種と職人豆腐 大山阿夫利 「職人豆腐」2種と「職人豆腐 大山阿夫利」)](https://shokuhin.net/wp-content/uploads/2025/02/5395b86f947f983fa73e31ffc168ab8c-300x225.png)
まずは豆腐、揚げの基本知識から製造方法、歴史、技能を持ち、マーケティングとR&Dを融合させた社内資格「豆腐マイスター制度」を開設。商品では、豆腐づくりの原点に立ち返り、職人技を凝縮したフラッグシップ商品の「クラフト豆腐」を開発した。製品化にあたっては、熱い豆乳のままで凝固させる「温凝固」製法を採用。原料にはたんぱく質量が多い選りすぐりの品種を使用し、豆乳濃度も通常の110%で甘味をアップ。にがりも独自の沖縄産海水にがりによりコク味をアップさせた。また、豆腐職人の技を“見える化”するため、食品パッケージに名前と大豆の産地、品種を打刻。詳しい製品情報を知らせるためのQRコードをつけた。
流通には豆腐ポテンシャル層を活性化するため、原料にこだわり、地場で親しまれている豆腐などをまとめた陳列棚設置を提案。アサヒコだけでなく、豆腐好きのための本格豆腐や各社の看板商品を一堂に並べて、食感や調理適正を訴求。「ここで買ってみたいようコミュニケーションが発信できれば、どれが一番安いかなどの買い方にはならないはずだ」を池田社長は語っている。
![日本アクセスの展示した棚割提案 日本アクセスの展示した棚割提案](https://shokuhin.net/wp-content/uploads/2025/02/0fde6d980946de658b01c4e7549c5572-300x225.png)
今回の棚割提案を一部の食品卸の展示会でも展示したところ、流通及び同業社からも高く評価されたと言う。また全農では「国産大豆を使った付加価値の高い商品が出回ることは、大豆農家にとっても大きな喜びあり、付加価値の高い商品が開発されれば豆腐消費の底上げにもつながる」と歓迎している。
現状では「棚割提案を導入しない会社はないほどの勢いで採用が進んでいる」と同社。今までスーパーの豆腐担当者は、カット豆腐や充填豆腐など縦割り担当だったが、今回のように豆腐カテゴリーの横断的な考え方が広がれば、消費者の関心も高まるはずで、アサヒコでは「まずは流通の旗艦店での成功事例をつくることに重点をおく」としている。
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