日本生活協同組合連合会は2025年度、生協の総合力や商品価値を改めて伝える情報発信を強化する。利用人数に課題のある宅配事業は、各生協のSNSアカウントを活用した情報発信や、宅配生協のお試しサイト「TRY CO・OP」で若年層の日常利用につなげる。店舗は「推しコープ」などのプロモーションに注力し、個々の商品価値を改めて訴求する。
全国44生協の24年4~11月度宅配事業は、受注高前年比1.2%増、利用単価2.5%増、利用人数1.3%減、利用点数1.6%減。11月までの月別利用人数の推移はいずれの月も前年割れで、引き続き利用人数獲得が課題となった。商品ではミールキットをはじめとした即食商品が好調だった。
25年度も宅配事業の成長に向けて「宅配リノベーション」を推進していく。ここでは大きく「コスト構造の見直し」「若年層獲得」を掲げる。AIによる発注最適化、宅配センターの標準化で事業効率を向上させるとともに、若年層に向けては「お母さんが利用する」生協のイメージを自分ゴトに捉え直してもらうため、アニメーション動画を制作し、各生協のSNSで発信する。「全国に400を超える生協のSNSアカウントがあり、フォロワーは計約80万人いる。各生協をベースにデジタルの口コミで広がりをつくる」(藤井喜継代表理事事業担当専務)。
店舗は、供給高2.1%増、利用単価1.9%増、利用人数0.3%増。節約志向を背景に利用点数は1.3%減だった。新店リニューアル効果や、「キッズデー」開催、スマホ教室など購買事業以外を行う「MoreCoop」など、地域に寄り添った取り組みも奏功。「くらし応援全国キャンペーン」と題し24年9~11月まで対象のコープ商品約180品を通常価格よりも1割安く提供した企画は、前年よりも冷食などを拡充し、供給高と購入点数いずれも二ケタ伸長するなど手応えを得た。
コープ商品のうち最も好調だったのは冷食で、有名店監修のラーメンも伸長していることから「節約疲れや贅沢ニーズもある」(同)と捉えている。水産品は手軽なミールキットやオールインワン商品、日配品は大袋タイプのチーズなど好コスパ商品が好評だった。
25年度は個々の商品の価値訴求を一層高めるべく、全国の組合員がすすめるコープ商品を集めた「推しコープ全国キャンペーン」を展開する。3月1~24日まで約65商品で「人気投票企画」を行い、届いた「推しの声」を商品の訴求ポイントやイメージ画像として活用する。商品開発はエシカル商品を中心に行うほか、プチ贅沢ニーズの高まりを受けて、発売10周年の「コープクオリティ」シリーズのブラッシュアップを図る。