小・中学校を表彰する「環境美化教育優良校等表彰事業」(主催:公益社団法人食品容器環境美化協会、略称・食環協)。25回の節目を迎えた今年度、最優秀校に選出された学校紹介特集の3回目は、環境大臣賞を受賞した福島県只見町立只見中学校だ。「第25回環境美化教育優良校等表彰式」は1月31日、浅草ビューホテル(東京都台東区)で開催された。
足元を見直す活動で地域環境に変化
町全体が只見ユネスコエコパークに登録されており、豪雪地帯ならではの雪がもたらす希少な環境を守るために、同校では地域とともに多彩な取り組みを行っている。その中でも脚光を浴びているのが、新聞紙をリサイクルして生徒が作製した新聞紙レジ袋を、地域の商店がプラ製レジ袋の代わりに実際に利活用している活動だ。生徒は主に休み時間を使い、毎週100個ほどの新聞紙レジ袋を作製。協力して作ったレジ袋は、商店で使ってもらえるように生徒自身が依頼し、各店舗の在庫管理なども行う。
この活動が誕生したきっかけは、海での体験学習中に、砂浜に散乱する漂着ごみの多さに生徒が抱いた危機感だ。海につながる川の上流で暮らす自分たちができることを考えた結果、ごみで目立っていたプラスチック製のレジ袋に着目、まずは地域から減らそうと考えたのが始まりだった。
そうした生徒の活動に感心した住民からの要望を受け、新聞紙レジ袋作製教室を地域で開催している。それが他市町村にも伝わり、生徒は地域外のイベントなどに出向き、新聞紙レジ袋の出前授業を実施、徐々に広がり始めた。その姿は、住民のみならず、地元の農家にも影響を与えている。
さんべ農園の三瓶(さんべ)陽太さんは、「生徒の活動から多くのことを学んでいます。私も米農家として、プラスチックコーティング肥料を用いない技術を導入するなど日々奮闘しているところです」と語る。
手ごたえをつかんだ生徒は、漂着ごみで多かったペットボトルにも着目し、ペットボトル飲料を使用しない日を設定する「ペットボトル・フリー・マンデー」を企画、実践中だ。家庭の冷蔵庫に貼る啓発用マグネットを作成し、地域に配布するなど工夫を凝らす。
目黒ゆまりさん(中2)は、「ペットボトルの使用量を減らし、プラスチック削減につなげることが狙いで始めました」と意欲を見せる。
こうした取り組みは、県内外で行われるシンポジウム等で広く発信。反響が寄せられるたびに生徒たちは自信を深めている。