クリスマスケーキがご飯に変わった。正確には、ケーキのために確保していた予算がコメの購入に充てられた。昨年末、学校給食でのことだ。楽しみにしていた子どもたちは落胆し、食材を卸す問屋では例年あるはずのケーキの売上が消えた。
▼スーパーの惣菜売場では米飯の量を減らし、その分を麺類で埋める弁当が増えている。原材料がコメと海苔のおむすびは価格を上げるしかなく、コンビニは値上げに踏み切った。
▼「コメの高騰により節約意識は一層強まった」。昨年末、卸のトップが指摘していた。これまでもあらゆる食品の値上げが続き、消費者の財布の紐は固くなっていたが、コメがその流れを加速させたとの見方である。
▼この期に及んで、農水省は備蓄米を放出する準備を始めたが「今さら」の感が強い。さらに政府はコメや肉類、乳製品などの供給量が減少した場合、増産を指示する方針を示した。ただ、今回の米騒動については、供給困難な状況には当たらないとする。コメ離れと言われ久しいが、主食が食品全体に及ぼす影響は大きい。そのことをもっと考慮すべきではないか。