精糖工業会の新春賀詞交歓会が1月9日に都内で開催され、精糖各社をはじめ特約店・流通関係など関係者約150人が集った。消費マインドの減退で砂糖消費が伸び悩む中で、業界のさらなる飛躍・向上を誓った。
冒頭あいさつに立った森本卓会長は、糖価調整制度の基盤となる砂糖勘定が巨額の累積赤字に陥っている問題に触れ「制度運用における不公平・不公正の解消は喫緊の課題であり、精製糖業界と異性化糖業界の公平な競争の場が確保されるべき。異性化糖からの調整金が適正に徴収されれば、砂糖勘定の単年度プライマリーバランスを黒字化させることも容易に達成できる」と指摘。
「農林水産省は、てん菜の交付対象数量削減や加糖調製品からの調整金徴収、異性化糖調整金の運用見直し、昨年末の補正予算では交付金を措置するなど相次いで制度運用改善の施策を展開している。当協会としても評価させていただいているが、制度の持続的な運営が可能となるよう、引き続き積極果敢に取り組まれることを期待したい」と述べた。
続いて来賓の江藤拓農林水産大臣は「昨年10月に指定糖調整率を13年ぶりに引き上げたが、業界の皆さまへの影響は決して小さくない。当省としても制度の安定的な運営確保のため、補正予算で60億円を確保させていただいた。引き続き皆さま方のご理解・ご協力をいただきながら制度を堅持し、北海道と鹿児島・沖縄における甘味資源作物の生産や関連産業の維持・発展を図ってまいりたい」と語った。
乾杯は仲野真司副会長が「今年の干支は『乙巳(きのとみ)』。溜まっていたエネルギーが一気に芽吹く年と言われる。われわれの思いや過去の経験値が、持続可能な精糖業界の未来に向けて実を結んでいくような一年にしよう」と杯を掲げた。
中締めは曾我英俊副会長が「今年も引き続き東アジア中心にインバウンド需要が期待される。株式市場の伸長とともに日本経済の盛り上がりを祈りたい」と述べ、関東一本締めで幕を閉じた。