24年度も酪農業界を巡る情勢は厳しい状況が続いた。酪農経営にかかるコスト高騰が圧迫し、指定団体に出荷する酪農家は1万戸を割り込んだ。酪農乳業の専門紙誌8社で組織する酪農乳業研究会は「2024年酪農乳業界重大ニュース」を選定した。
今年の大きなニュースとして「農政の憲法」とも称される「食料・農業・農村基本法」が四半世紀ぶりに改定された。ここでは食料安全保障を基本理念の中核に、農業生産基盤などの確保のための輸出促進、合理的な費用を考慮した価格形成を新たに位置付けるなど、食料安全保障についての考え方が抜本的に強化された。
チルド帯における物流体制の見直しも具体的な動きをみせた。食品メーカー9社はチルド物流研究会を発足。「納品リードタイムの延長」「付帯作業の削減」「共同配送推進」などを盛り込んだ分科会を設置し、25年以降は他業界団体や行政などと連携を深めるとともに、持続可能な物流のあり方についてのガイドライン策定を行う方針だ。重大ニュースは次の通り。
(1)「食料・農業・農村基本法」四半世紀ぶりに改定
(2)指定団体に出荷する酪農家1万戸割り込む
(3)乳業界を挙げて商習慣見直しへ
(4)アイスクリーム類販売好調続く
(5)原料高などコスト上昇依然継続
(6)プラントベースフード商品増加、社会需要に対応
(7)牛乳の中身・サイズなどバラエティー化進む
(8)工房チーズ、世界的大会で続々受賞
(9)気候変動が生乳生産・乳製品市場に影響
(10)乳業メーカー、生産体制再構築へ大型投資