菓子卸の関口が宮城県仙台市で9月18日開催した「令和6年 東北エリア秋季大見本市商談会」には、過去最多となる132社(223コマ)の菓子・食品メーカーが出展し、小売店や卸店らの来場客とともに、これから最需要期を迎える菓子市場に関する情報交換が活発に行われた。
132社のうち13社が初出展。展示ブース増加に伴い開催時間を30分延長した。
同展示会は、東北で唯一の専業卸による菓子展示会となる。
1973年の東北進出時、東北の顧客は皆無に等しく、ゼロからのスタートで顧客数を増やしていった。過去最多の出展数や顧客数の増加は、小売店・メーカー双方へのきめ細かな営業活動が奏功したとみられる。
この日、取材に応じた関口快太郎社長は「東北エリアは広範のため、メーカーさまが限られた人員で営業しようとしてもなかなか回り切れない。当社の見本市は今では東北で唯一の専業菓子卸の見本市ということもあり、あるメーカーさまにとっては、これまでお取引のなかった小売さまのお客様に出会える場となっている」と語る。
小売店の来場は、関口の訪問活動によるところが大きいという。
数年前から訪問活動を強化し、アフターコロナに向かうにつれ完全復活。「若手営業社員を中心に訪問活動をきちんとやるようになってからは数字が安定してきた。普段の訪問活動は展示会の来場客数にも反映される」とみている。
売店など小口取引の小売店との関係を重視しているのも特徴。
「経費がかかり、利益率や効率だけを考えると小口では“お取引をしない”となるが、それでは“お菓子を配荷してお菓子を広める”という菓子卸の存在意義がなくなってしまう。小口のお客様とお取り引きし続けて独自色を出していくのが、地域菓子卸の生き残りにつながる」と力を込める。
小口取引の小売店との取引の維持・拡大と作業負荷軽減を目的に、今期(3月期)、発注ツール「TANOMU」(タノム)を導入した。
これは、“LINEのトーク画面を開く“商品を選ぶ”“納品希望日を選ぶ”という3ステップで商品を発注でき、手書きやFAX送受信による煩雑さや発注ミスの防止が見込まれる。
「注文の仕方をもっと効率的にして、営業のやり方の見直しや、事務員さんの作業負担を軽減できるのではないかと考えて導入した。最小注文ロットなどの条件は支店に任せているが“お取引をやめる”のだけはダメと言い聞かせている」と語る。
今期売上高の出足は上々。
4-7月売上高は、前年同期比8.09%増。エリア別では、東北が12.5%増、関信越が3%増となり東北が牽引した。
これにより同社の売上構成比は東北が数ポイントアップして、現在、東北・北海道で55%、関信越で45%となっている。
今期は73期目となり、7年後の創業80周年に向けては全社で500億円の売上目標を掲げる。その通過点である今期の売上高目標は11%増の268億円。「4-7月で8%増のため、もう少し頑張らないと届かない」と気を引き締める。
東北は1150億円と推定される東北菓子市場でシェアアップを狙う。前期、東北の売上高は約135億円でシェアは1割強。これを2割まで引き上げる。
「一般的に売上げは人口減少に伴って減っていく。特に東北・北海道では人口減少のスピードが早く、それにつられて市場も減っていくため、シェアを重視している。まだまだ実行できていないお取組みがたくさんあるので楽しみ」と意欲をのぞかせる。
東北でのシェア拡大に向けて、採用と設備投資に注力していく。
人材確保に向けては、働きやすい環境づくりとして、来年から休暇日数を増やすなど新たな人事制度を導入する。
設備投資については、仙台支店と秋田支店も拡張移転を計画。仙台支店は現在の1.7倍程度の広さの土地を取得し2025年に新倉庫の稼働を計画。秋田支店も今期中の拡張移転を予定している。