焼酎はおじさんが飲むもの。そんなイメージをアップデートさせる試みに挑むのは、本格焼酎で知られる濵田酒造(鹿児島県いちき串木野市)。平均年齢が若いIT企業にターゲットを絞り、社員食堂で焼酎のカクテルを提供した。
ゲーム開発などを展開するセガサミーホールディングス(東京都品川区)の社食で、11月21、22日の両日にわたってバータイムのメニューにオリジナルカクテルが並んだ。
ベースに採用したのは同社の“香り系”焼酎2品。
18年の発売後、ブームを巻き起こすヒット銘柄となった芋焼酎「だいやめ」のハイボール、そしてオレンジジュースを加えた「だいやめサンライズ」を提供。
さらに希少スパイス「マーガオ」をボタニカルとして使った新感覚麦焼酎「チルグリーン」では、多めの炭酸でラムネのような香りを引き立てた「ラムネ風ハイボール」、トニック割り「チルトニック」も用意。日ごろ焼酎にあまりなじみのない若手社員らに、従来の焼酎のイメージをくつがえす飲み方をアピールした。
コロナ後広がる「社内飲み」に着目
「香りを実際に体験したり、試飲していただかなければ購買層を獲得できない。ブランドとターゲットの接点をいかに多く作るかが業界の課題」と話すのは、濵田酒造コーポレートコミュニケーション課の川野修郎課長。
「若者の焼酎離れが言われているが、接点さえ生み出せれば好きになってくれる人は多いと思う。普段は飲まないけど、実際に飲んでみたら『これはいける』となる人を広げれば、日本の焼酎人口はまだまだ拡大できると思っている」。
社食を展開する給食業者側も、社員の利用を促進するべく企画に積極参加。「さんま大葉フライ」「ハーブチキン」など5種から選べるメニューを用意し、カクテルとのセットを700円で提供。先着50人にはオリジナルタンブラーをプレゼントして好評だったという。
「コロナ後、家飲みと外飲みだけでなく『社内飲み』も広がりつつある。お酒を飲む人が集まる居酒屋と違い、社食は飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる場。違う部署で働く人たちが、気兼ねなくコミュニケーションをとれる場が生まれた。バータイム活性化に貢献できたと思う」(川野氏)。