10.7 C
Tokyo
11.9 C
Osaka
2025 / 12 / 07 日曜日
ログイン
English
加工食品製粉パン粉価格、小麦連動から脱却を 適正利益確保へ正念場

パン粉価格、小麦連動から脱却を 適正利益確保へ正念場

パン粉業界は、粉価に連動した価格設定からの脱却を迫られている。これまでメーカー各社は年2回の麦価改定に合わせて、主原料である小麦粉の値段が上がれば販売価格を上げ、下がれば値下げするというスライド方式をとってきた。

業界団体の全国パン粉工業協同組合連合会は、副原料や物流費など主原料以外のコストが急激に上昇したことを受け、一昨年からこの方式を見直すよう呼びかけてきた。しかし、パン粉業界は地方に点在する中小メーカーが多く、その後も長年続く得意先との商習慣から抜け出せないまま、思い切った値上げに踏み切れないケースもあった。

こうした中、この10月期の麦価は5銘柄平均で1.8%引き下げられた。一方で副原料や資材の価格は再び上昇傾向にあり、物流業者からの値上げ要請も相次ぐ。

自社配送する企業もあるが、ドライバーの高齢化に悩む。「若手は大きなトラックが運転できないので小型車に変えたいが、効率が下がり新車の購入費用もかかる」と地域メーカーの経営者は明かす。

パン粉の製造工程は複雑で、現場では人手不足も相まって省人化を見据えた新しい設備の導入が必要となっている。だが、コロナ禍前に比べ機械が1.5倍から2倍の値段に高騰しており、新設は容易でない。

連合会の小澤幸市理事長(富士パン粉工業社長)は「これ以上のコスト積み残しが厳しいところまで来ている」と指摘。フライスターの関全男社長も「存続するための前向きな資金を確保しなければならない」と強調する。将来への投資が実現できるだけの適正利益の確保へ向け、粉価連動の価格設定から抜け出せるか。メーカーは正念場を迎えている。

(11月6日付本紙に「パン粉特集」)

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。