セブン&アイHDが稼ぎ頭であるコンビニ専業へと舵を切った。スーパー・外食など“非コンビニ事業”を中間持株会社へと切り離し、今後新たに「戦略的パートナー」を招聘するという。
▼かつてGMSの雄と呼ばれた祖業・イトーヨーカ堂の切り離しはあらためて時代の流れを感じさせる。井阪隆一社長自身も「変化への対応力が弱っている」と認めるように、巨大流通グループであるがゆえに構造改革が後手に回った感は否めない。
▼英断の背景には“外圧”が少なからず影響したのかもしれない。連日マスコミを賑わしたカナダのコンビニ、アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に対抗する上で、「コンビニ専業」による企業価値向上策を打ち出す必要もあったのか。
▼グループの精神的支柱であるイトーヨーカ堂の創業者・伊藤雅俊氏は常々、「苦しい時にこそ変化への対応力がある」と語り続けたという。時代がどう変わろうとも現場重視や顧客の声を聞くといった小売り・商売の原点は不変だ。グループ構造改革の行方を現場・顧客目線で見守りたいと思う。