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2025 / 11 / 13 木曜日
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農水畜産業水産マルハニチロ北日本・釧路工場 港隣接で原料調達に優位性 いわし缶詰の生産最盛期
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

マルハニチロ北日本・釧路工場 港隣接で原料調達に優位性 いわし缶詰の生産最盛期

缶詰記者会(本紙ほか加盟13社)は先月、いわし缶詰の最盛期を迎えているマルハニチロ北日本・釧路工場を訪問した。

マルハニチロ北日本は、2010年にマルハニチロの北海道・青森地区の生産工場が統合して発足。さば缶詰を生産する青森工場、カニ缶やにんじん・トマトジュースを生産する富良野工場、さけフレークや北海道限定のいか塩辛などを生産する森工場、さけ缶やさんま・いわし缶詰を生産する釧路工場の4拠点体制で、北海道・青森の良質な水産物や農産・畜産原料を使用し安全安心で高品質な製品を全国に届けている。

マルハニチロ北日本・釧路工場は、全国有数の水揚げ量を誇る釧路港に立地。巻き網船が入港するふ頭から目と鼻の先に工場を構え、さけやさんま、いわしなどの水産缶詰を製造している。

澤田直人工場長は「港に工場があり、原料調達面で非常に優れている。根室や厚岸、広尾など周辺の港からも良質な水産資源が集まり、漁の状況などの情報が日々把握できることも大きい」と語る。

釧路工場の創設は1952年。戦後、北洋での操業再開とともに当時の日露漁業が釧路で缶詰加工を開始。今年で発売124年を迎えた「あけぼのさけ缶」をはじめ、北海道産のさんま・いわし缶詰を製造し、マルハニチロの水産缶の主力拠点として発展を続けてきた。

23年度の生産数量は56万箱(48缶/ケース換算)。マルハニチログループ全体の約3割を占める。主な生産品目は「いわし缶」(25万箱)、どん帳シリーズの「さんま蒲焼」でおなじみの角缶(約17万5000箱)、「さけ缶」(7万5000箱)など。そのほか、さんま水煮、業務用パウチなど多岐にわたる。

いわし缶詰の製造工程
いわし缶詰の製造工程

訪問した9月後半は、いわし缶詰の最盛期。前浜で水揚げされた生のいわしは、洗浄・金属検査後、頭と尾、内臓を取り除き、再度検品して調味・加熱殺菌され缶詰製品となる。最盛期は毎日40トンのマイワシ原料を加工。頭や尾、内臓はミールとして再活用され、原料は余すところなく使い切り、サステナブルで安全・安心な製品を市場に届けている。

澤田工場長は「8月後半のシーズン序盤は魚体のサイズが小さく苦労したが、現在は水揚げ量・サイズともにアップし生産は順調。北海道のいわしは油が良質で、おいしい缶詰ができている」と胸を張る。9月には釧路製造の新製品「北海道のいわし水煮 食塩不使用」が全国発売され、工場の士気は高まっている。

22年春に完成した第三工場では、最新の焼成ラインを導入。どん帳シリーズの「さんま蒲焼」や「いわし蒲焼」などロングセラーの角缶を中心に製造する。新焼成機は天然ガスを熱源にエネルギー使用量やCO2の削減に貢献するだけでなく、優れた焙炒効率とマルハニチロの独自技術で焼成加工品の品質アップを実現。ふっくらとした蒲焼は手詰めでていねいに仕上げ、ロングセラーのこだわりが詰まっている。

今後の取り組みについて、澤田工場長は「安全・安心、品質を第一に省力化、生産性向上に努めていきたい」。人件費や製造コストが上昇する中で、良質な製品を安定的に製造するための努力を重ねるとともに、魚種や水揚げ量の変化も想定し、さけ・さんま・いわしの主力魚種にとどまらない製品開発にも力を入れる。

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