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農水畜産業野菜太陽が育んだ伊産完熟トマトを日本へ㊥ 広大な畑、収穫は時間との勝負

太陽が育んだ伊産完熟トマトを日本へ㊥ 広大な畑、収穫は時間との勝負

ピークの夏は工場に約150人

温暖な地中海の太陽の下で自然に熟したイタリア産のトマト。化学肥料や殺虫剤、除草剤は一切使わず、生きた土壌で育つため栄養価と風味はより強化される。その美味しさをそのまま詰め込んだのがイタリアのトマト缶詰だ。

ランベルティ社(Lamberti)のMR.ランベルティ(Lamberti)氏は、カンパーニア州カゼルタ県に大規模なトマト農園を所有している。訪れた8月下旬は収穫期終盤だったが、広大な敷地内で数台の収穫機を使って手際よく収穫していた。ここで栽培する原料用トマトの品種はニューメン(Nunhems)社の「テイラー(Taylor)」。地面から30cmほどと背丈が低く、地面すれすれに実ったトマトの果実を茎から外し、自動的に色の違いを見分けながら摘みとり、横づけされたトラックに搬入される。収穫されたトマトは1台に約80箱を乗せたトラックに運ばれ、速やかに加工工場に運ばれる。約1か月半の間に莫大な量の加工用トマトを収穫から出荷まで行う作業は「まさに時間との勝負」とランベルティさんは語る。

ミネラルが豊富なこの土地はトマト栽培に最も適しているが、35℃前後が適温のトマト栽培にとって今年は45℃と異常な暑さ。暑さ対策として、苗に石灰をまいて実を保護しており、この土地ならではの栽培方法をとっている。ただし「収穫量は平年並みだが、今年はガソリン代が上がって厳しい」とし、世界的な燃料価格の高騰がここでも影を落とす。

セリット工場で働く女性社員
セリット工場で働く女性社員

真っ赤に完熟したフレッシュでみずみずしいトマトだけが缶詰加工用として収穫され、速やかに加工工場に運ばれ、洗浄や選別などの工程を経て缶に真空密封され、新鮮さと風味を保つため殺菌処理されてから出荷される。

イタリアのトマト保存加工企業で構成するイタリア野菜保存食品産業協会(ANICAV)の会員企業でもあるセリット工場(SELLITTO)は、75年の歴史をもつ老舗工場だ。工場の4代目女性社長のロッサーナさんは、ANICAVの若手グループ代表も務めるなど重責を担いながら工場を経営。「来日経験も数回あり、日本料理店のトマトの煮込み魚が美味しかった」と日本食ファンでもある。

工場は、日本やアメリカなど約8割を輸出で賄っており、日本との取引も約30年前から続いている。日本向けのブランド名は「レジネッタ(Reginetta)」。対日輸出は年間約900tに達する。主にイタリアレストランやホテル向けに販売しており、取材当日はダイストマトとトマトピューレを製造していた。

工場は地元女性を中心に雇い、繁忙期と閑散期があるため、冬は30人、夏は150人と季節によって就労人数を使い分けている。働く側も春はイチゴ、夏はトマト、秋は栗の製造工場と渡り歩いている。

「トマトは日本のご飯と同じ」と語るロッサーナさん
「トマトは日本のご飯と同じ」と語るロッサーナさん

イタリアでも人手不足は深刻。「社員の手配と管理が難しい」とロッサーナさんは嘆く。もう一つの悩みは各国との付き合い方。世界に輸出しており、「国によって基準が異なるため、この管理が難しい」。

日本とは長年にわたって某大手卸会社と取引しており、「日本は他国に比べて需要が安定しており、一回取引するとそのまま続く」とし、日本とは良い関係を保っている。「トマトは日本のご飯と同じ」とロッサーナさん。パスタやピッツァなど様々な用途に使え、料理に彩りや味覚、満足感をプラスしてくれる。イタリア料理にとって主役であり、名脇役でもある。

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